|
|
目次24年10月号 ・巻頭言 「 傷みを風に〜」 ・すずか路 ・小休止 ・柳論自論 ・川柳・人と句「 齋藤大雄さん」 ・例会 ・例会風景 ・没句転生 ・インターネット句会 ・特別室 ・アラレの小部屋 ・前号「すずか路」散歩 ・誌上互選 ・ポストイン ・あしあと・その他 ・大会案内 ・編集後記
|
柳歩 柳歩整理 柳歩 たかこ 柳歩 清水 信 久美子 寺前みつるさん たかこ |
|
巻頭言 | |
傷みを風に〜
上信越道、信州中野インターを降りて湯田中温泉に向かっていると、中山晋平記念館の案内表示があった。中山晋平は童謡などの作曲家として有名で、私でもその名は記憶していたので、迷わず寄り道することにした。 柳歩 |
すずか路より |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
川柳 人と句8「齋藤大雄さん」 たかこ |
大の字に寝ればわが家の小さすぎ かんたんな男よ酒の一本よ 箸割ってくれた夫婦になれぬ人 |
|
特別室 |
川柳作家・木野由紀子 書庫の整理中である。 意外な書物が出てきたり、懐しい雑誌が出てきたりで、思わず日を過すことになって、整理の手が止まってしまい、徒らに時間を食うが、愛書家としては悪い気持ではない。『そよ風』も、そういう雑誌の山の中から、ぽろりと出てきた一冊の可愛いい本であった。 女性の川柳作家の句集としては、宮村典子、青砥たかこ、木野由紀子の単行本や、大嶋都嗣子や斧田千晴の手作り句集が、強い印象として残っているが、ここにこうして木野さんの句集が突然出てきたのは、深い縁を感じる。 木野さんが第一句集『白つめ草』を刊行されたのが昭和61年、それによって、県文学部門文化奨励賞を受賞されたのが昭和63年、その頃からの「おつき合い」だと思う。 第二句集『そよ風』は、平成13年11月刊、発行所は大阪市東成区の新葉館出版であった。平成11年から県川柳連盟の理事長であり、番傘桔梗川柳会々長を兼ねておられ、文字通りの重鎮だったわけで、刊行後すぐ書評は書いた気がするが、改めて再読し、感動を新たにした。 川柳は、わりと性別を明らかにしている文芸で、男川柳の三要素は、男気、風刺、批判精神だが、女川柳を支える三要素は色気とロマンチシズムと微笑だと言われている。 「黒い河童」「竹人形のことなど」「バーミアン石仏を悼む」という3編のエッセイをふくむ8部に分かれる句の集成も、しゃれているし、作中に横溢するロマンチシズムは抜群である。音楽やオペラや、美術や文学(小説)への参入も尋常でない。その共鳴の姿勢が、実にロマンチックなのだ。
・百のチェロ凍れる骨を暖めよ このように『マノン・レスコー』という物語や、エリック・サティという音楽家や、ニーチェという哲学者を描ききった句は、空前だったろう。
・ひろしまの嗚咽を消そう鐘をつく 木野の心魂を傾けた美学から、自分は解放されたいとは思わない。 (文芸評論家) |
誌上互選より 高点句(一人5句投票) | |||||||||||||||||||||||||||
|