橋倉久美子 選(入選39句)
失言を重ねようとも副総理 |
吉崎柳歩 |
嘘ばかり重ね辞任に追い込まれ |
松本諭二 |
季の異常昨日重ね着今日は脱ぎ |
柳川ひょうご |
掲示板ダブって見えたサクラチル |
満月庵 |
座布団を10枚重ねてる笑い |
田岡修二 |
ブランコの息子にボクを重ね見る |
加藤当白 |
罪重ね重ねて林檎熟れていく |
尾崎良仁 |
こつこつと罪を重ねて現在地 |
狩野順史 |
*唇を重ねて嘘を閉じ込める |
おさ虫 |
掌さえ重ねることもなく夫婦 |
べにすずめ |
傘に傘重なり渡る繁華街 |
中川喜代子 |
女の愚痴重ねランチも盛り上がり |
怜音 |
サイズ毎に重ねて置いてある病衣 |
村上佳津代 |
ハートにも重ね着をして引きこもる |
新家完司 |
辞書重ね今じゃ書斎のインテリア |
よーこ |
読みもせぬ本をせっせと買って積む |
狩野順史 |
虫食いの葉っぱ重ねてキャベツ巻き |
かっちゃん |
逢うたびの重ねる嘘に乗ってやる |
浩子 |
重ね塗りするほど白に遠くなる |
澁谷さくら |
*お見合いを重ねるたびに肥える舌 |
福村まこと |
二度漬けはまかりならんと串カツ屋 |
圦山 繁 |
偶然が重なり気づく赤い糸 |
じゅんたろう |
足跡をたどって歩く雪の道 |
城門塵 |
くちづけをしても重ならないこころ |
澁谷さくら |
重なった一番上は買わぬ本 |
モモコ |
持ち歌が重なり予約さっと消す |
じゅんたろう |
じれったい早く重なれ影二つ |
おかのみつる |
重ねにくそうな食器で諦める |
たごまる子 |
客茶碗重ねて終えたお正月 |
大澤 葵 |
重ね着に改札口が乗車拒否 |
竹内光人 |
*重なったところに錆が出る夫婦 |
冬子 |
偶然が重なり神も苦笑い |
右田俊郎 |
ホットケーキは二枚重ねがお約束 |
北田のりこ |
*先約を断るほかはない訃報 |
吉崎柳歩 |
*両方を欠席にして果たす義理 |
甲斐良一 |
*重ならぬように注文してほしい |
たごまる子 |
秀3 老後へと積み重ねてる文庫本 |
浩子 |
秀2 すみません!ゴメン!を重ね生き延びる |
新家完司 |
秀1 チケットを見せ合うダブルブッキング |
颯爽 |
評 「重ねる・重なる」で「ダブルブッキング」は目新しい発見ではないが、「チケットを見せ合う」
様子が目に見えるようで、心引かれた。
軸 *
重なっていたか一万円多い
橋倉久美子