目次29年2月号
巻頭言  「ラジオ世代」
すずか路
・小休止
・柳論自論「印象吟の意義」
・没句転生
・人と句(真島久美子こさん)
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・その他
・大会案内
・編集後記

柳歩
柳歩整理

柳歩



たかこ
清水 信さん
久美子
圦山 繁さん





 
バックナンバー

25年12月(240号)
25年11月(239号)
25年10月(238号)
25年 9月(237号)
25年 8月(236号)
25年 7月(235号)
25年 6月(234号)
25年 5月(233号)
25年 4月(232号)
25年 3月(231号)
25年 2月(230号)
25年 1月(229号)    29年 1月277号)
24年12月(228号)   28年12月276号)
24年11月(227号)  28年11月275号)
24年10月(226号)  28年10月274号)
24年 9月(225号)   28年 9月273号)
24年 8月(224号)   28年 8月272号)
24年 7月(223号)   28年 7月271号)
24年 6月(222号)   28年 6月270号)
24年 5月(221号)   28年 5月269号)
24年 4月(220号)   28年 4月268号)
24年 3月(219号)  28年 3月267号)
24年 2月(218号)  28年 2月266号)
24年 1月(217号)  28年 1月265号)
23年12月(216号)   27年12月264号)
23年11月(215号)   27年11月(263号)
23年10月(214号)
  27年10月(262号)
23年 9月(213号)
 27年 9月(261号)
23年 8月(212号)
  27年 8月(260号)
23年 7月(211号)
  27年 7月(259号)
23年 6月(210号)
  27年 6月(258号)
23年 5月(209号)
  27年 5月(257号)
23年 4月(208号)
  27年 4月(256号)
23年 3月(207号) 
27年 3月(255号)
23年 2月(206号)
  27年 2月(254号)
23年 1月(205号)
 27年 1月(253号)
22年12月(204号)
  26年12月(252号)
22年11月(203号)
  26年11月(251号)
22年10月(202号) 
26年10月(250号)
22年 9月(201号)
 26年 9月(249号)
22年 8月(200号)
 26年 8月(248号)
22年 7月(199号) 
26年 7月(247号)
22年 6月(198号)
  26年 6月(246号)
22年 5月(197号)
  26年 5月(245号)
22年 4月(196号)
  26年 4月(244号)
22年 3月(195号) 
26年 3月(243号)
22年 2月(194号)
  26年 2月(242号)
22年 1月(193号)
 26年 1月(241号)


                         
以前のバックナンバー

 

巻頭言

「ラジオ世代」

  物心が付くのには個人差もあろうが、概ね四歳頃だろうか? 真空管のおんぼろラジオから流れていた古い歌で記憶にあるのは、「異国の丘」「上海帰りのリル」「東京ブギウギ」「私は街の子」「鐘の鳴る丘」など、数多ある。
 歌は世につれ世は歌につれ、とはよく言ったもので、ラジオは戦後の混乱期から復興、労働運動、経済成長、産業構造の変遷の過程で生まれた歌謡曲を流し続けてきた。春日八郎からフランク永井と、私のカラオケの持ち歌は、この時代のものに限られる。

 娯楽の少ない時代であるから、夕方から夜にかけては専らラジオを聴いて過ごした。歌にしてもドラマにしても、映像がないぶん、想像力を培ってくれたのではないか? ドラマでは、まだ子供だったから「君の名は」には興味はなかったが、「少年探偵団」や「笛吹童子」「紅孔雀」など、胸をときめかせて聴いていたものだ。
 大相撲では照国や羽黒山が横綱を張っていたころから記憶がある。新鋭、栃錦(後の春日野理事長)が、すでに最盛期を過ぎていた羽黒山に挑んで破れた一番、大内山を首投げで下した一番は今でも耳に残っている。初代若乃花と栃若時代を築いたころにテレビ放送(もちろん白黒)が始まったが、まだ一般家庭には普及していなかった。

 皇太子のご成婚を前に、テレビが急速に普及してきた。まだ我が家にはなかったので、近所のテレビで見物したものだ。やはり、パレードは「聴くもの」ではなく、「視るもの」である。
 巨人軍に長嶋茂雄が入団した頃、社宅の会館(集会所)にテレビが設置された。金田投手から四連続三振を喰らった長嶋選手は、三振しても絵になる男であった。社会はテレビの時代に移り、ラジオは過去の遺物(?)となった。

 NHK津局、FMラジオ放送「みえDE川柳」は、三年前から生放送として始まった。三川連前理事長の宮村典子さんと私で一ヶ月おきに出演している。最近、ネット配信もされるようになった。この歳でラジオと関わろうとは、夢にも思わなかった。

                                        柳歩
            

 
すずか路より
初日記今年も三日坊主です 瓜生晴男
香奠返し選ぶ手間付け返される 加藤吉一
年老いて耳たぶだけは柔らかい 安田聡子
七度転んで七度起きたら上出来だ 芦田敬子
近頃の犬は雪でも走らない 圦山 繁
美味しいと言われるまでがえらい手間 千野 力
本名を忘れ雅号で生きている 鍋島香雪
鶏が朝を知らせる里帰り 小出順子
懇親会最終バスが早すぎる 鈴木章照
生真面目にマーキングだけする男 高柳閑雲
コンビニのコーヒーうちのより旨い 川喜多正道
華の字の書き順またも確かめる 石崎金矢
少しだけ崩れてみよう遠出する 柴田比呂志
拍子抜け話せば解る人でした 竹内そのみ
登記簿を辿れば埋められた沼地 樋口りゑ
ほかほかの便座に感謝する真冬 加藤峰子
初優勝「白稀」時代の予感する 宇野満宏
青い目の孫にキスされバースデー 福村まこと
店先の野菜はグチを聞き飽きる 佐藤千四
切りたいと思う人から来た賀状 西野恵子
五十年経って似た者同士なり 寺田香林
このごろは苦情も受ける除夜の鐘 瀬田明子
代筆をしてはならない遺言書 西山竹里
手術室地味な化粧でかけつける 岡ア美代子
大勢に囲まれたって死はひとり 日野 愿
傾いた月はだれにも止められぬ 澁谷さくら
同じこと繰り返すのが人生だ 竹原さだむ
ゲレンデに自信がついた膝頭 神野優子
少数派わかってくれる人がいる 上村夢香
エコー見る医師の口元嬉しそう 佐藤近義
なんとこの素敵な時間昼の酒 前田須美代
見てる側それが表と思う虹 岩谷佳菜子
初めから話すと長くなる話 西垣こゆき
爺一人退位転居は出来もせず 松岡ふみお
ケーキよりいのちがほしい誕生日 坂倉広美
降る雪をものともせずに行く句会 橋倉久美子
我が町にハチ公像があるご縁 北田のりこ
安定感あふれる顔でいるダルマ 河合恵美子
断りの理由三つは考える 落合文彦
御朱印を頂く旅で元気出る 東海あつこ
女子会は食べて喋ってエンドレス 中川知子
あきらめが肝心だとは思えない 毎熊伊佐男
ビンゴゲームポインセチアは友が取り 鈴木裕子
百二十まだ鳴っている除夜の鐘 長谷川健一
米寿まだ歳を忘れるほど元気 水野 二
会えるとき会っておくよう神の声 竹口みか子
安倍さんの詭弁を聞いているテレビ 吉崎柳歩
少しずつセーブ頑張り通すため 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句 58 「真島久美子さん」                                                                           たかこ


オレンジの屋根楽しそう哀しそう
帰宅する時間に炊き上がる美談
目の奥は笑っていない水たまり
行きましょう守れるものに守られて
押し花になって脱力する季節

てんぷらにすれば縮んでしまう君
単純な私の単純な野望
ミュージカル風に哀しみ乗り越える
無器用な妹まっすぐに飛んだ
絶対に怒らないから言ってみて

全員が前向き騒がしい家族
手料理でブラックホールへと誘う
輪郭がはっきりしないまま別れ
肩が凝るあなたがくれたネックレス

涙より重い言葉が見当たらぬ
母親になれず姉ちゃんにもなれず
夏だから送料無料です 私
空腹で秋のポストをまた覗く

転がした嘘が巨大な雪だるま
上巻で止めておこうと思う春
言い訳をだらだらだらと腰に巻く
いま以上大人になれと言う背中

距離という敵を味方に変えてやる
落とし穴の中にも落とし穴がある
丁寧に書く紙屑になる手紙
入院の父がなんだか楽しそう

 

1月28日(土)例会より
宿題「転ぶ」 吉崎柳歩 選
   病院の前で安心して転ぶ 坂倉広美
   期待するほど転ばない千鳥足 川喜多正道
 止  パック詰めされて卵は転べない 圦山 繁
 軸  真央ちゃんが転ぶと痛む僕の胸 吉崎柳歩
宿題 共選「プラン」 竹口みか子 選
   あの世逝くプラン夫と別べつに 小出順子
   うまいもん食べる案ならすぐ決まる 鈴木裕子
 止  やる気あるプランが並ぶ年始め 芦田敬子
 軸  今年こそ夏のプランは燃えている 竹口みか子
宿題 共選「プラン」 毎熊伊佐男 選
   あくまでもローンプランは病なし 岩谷佳菜子
   資金さえあれば何とかなるプラン 橋倉久美子
 止  二人ならどこへ行ってもいいプラン 吉崎柳歩
 軸  プランどおりに増えたためしのない貯金 毎熊伊佐男
宿題「自由吟」 橋倉久美子 選
   童謡も演歌も混ぜている介護 川喜多正道
   今日は何の日箸置きが出してある 北田のりこ
 止  息継ぎが少ない方が勝つ議論 岩谷佳菜子
 軸  すぐ顔になじんでくれるよい眼鏡 橋倉久美子
席題「印象吟(サボテンの写真)」 清記互選 高点句
13点  とんがったまま少年が群れている 橋倉久美子 
 8点  棘のある同士肩組み日向ぼこ 圦山 繁
   少子化にめげず私は子沢山 川喜多正道
 7点  風船の思いもかけぬ着地点 吉崎柳歩
 5点  養毛剤効果はさほど出ていない 芦田敬子
特別室

 春三賞                                         清水 信

 
『川柳ジャーナル』124号を見ると、「春三賞」の発表号である。昔の雑誌で恐縮だが(昭和49年)賞と言うものについて考えたい。
 応募作について、七人の選者が審査をする。3点から0点までの4段階で採点する。この採点表一覧が巻頭にあって、それが面白くない。

 春三賞を得た渡辺可奈子の「水俣図」は計13・7点であり、準賞の金子青泡の「赤い傘」は10・3点である。小数点以下の点を付けた人は、いさぎよくないのではないのか。春三、芳味、あきら等が小数点こみの採点をしている。春三は1・3とか2・2とか、0・4とかの点をつけ、芳味も1・5とか0・5とかいう採点が多く、あきらも1・2とか1・3とかの点をつけている。

 時実新子ひとりが3が1人、2が2人、1が3人、0が12人と、たいへんいさぎよい。
 富二も小数点評価はないが、2が2人、1が6人、0が10人と、3がないのが特徴で、この採点態度も良くない。

 応募作品は、絶対評価ではなく、あくまでも比較評価である。3がないのは、自己満足に堕しており、小数点評価も選者の未練や心の迷いで、賛成できない。
 因みに渡辺は3評価が2人(7人中)いて受賞したが、富二の評価は1であって、金子、細川は3評価が一つあって、準賞、松本は3評価が一つもなくて、準賞である。その二人共、0評価が二人ずついる。

 渡辺の作は、次のようである。

・抱かれて子は水銀の冷え一塊
・手から手へ屍はまみれゆくとしても
・やわらかき骨うくいまし苦海の子

 テーマ句として、自分は評価を惜しまないが、3評価が2人ということは、そんなに歓迎されていないことが分かる。

・一献をかざすと死者の莫迦笑い     金子青泡
・しょせん右手の優越感である    松本葦舟 
・肯いた肩から逃げてゆくほたる    細川不凍

 準賞作品を一つずつ引いた。

 選評を見ても、時実新子は、いさぎよい。春三賞作品について、「憤りの極致はついに透明な火となるのか」と述べ、2位におした本間美千子の作品について「女の性に溺れきった作者のメロメロぶりは、むしろいさぎよい。(略)今も私は男句・女句というものが、あっても当然と思っている」と述べている。その断言が快い。

                                                                      (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 スマホ 』  応募90句
 1 0  手のひらに軽く地球も乗るスマホ 河合恵美子
   9   太陽は見えぬスマホという樹海 柴田比呂志
     自慢げに老人会に居るスマホ 佐藤千四
    8   降りる駅近いかスマホ仕舞われる 佐藤千四
    7  情報はくれるが知恵はないスマホ 橋倉久美子
     大切な時間盗んでいるスマホ 川喜多正道
     勤務中だけ休ませてやるスマホ 水野リン子
     念のため柩にスマホ入れる通夜 福村まこと