目次29年11月号
巻頭言  「句意と句姿」
すずか路
・小休止
・柳論自論「課題の意味・下」
・人と句「安田聡子さん」
・例会
・例会風景
・宿題選評
・没句転生
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・その他
・大会案内
・編集後記

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柳歩整理


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巻頭言

「句意と句姿」                                                                        

 添削をする時、よく使うフレーズに、「句意はよく分かりますが、句姿がいまひとつですね」がある。
 この時、始められたばかりの作者には、まず句意とは?句姿とは何かを伝えなくてはならない。どちらも漢字の持つ意味のままなのだが。

 句意とは、句で言いたいこと。句姿は、定型が守られているか、字足らず、字余りになっていないか。助詞の使い方は合っているか、下五の止め方はいいか、などだ。
 句姿ばかり気にしていると、せっかくの見付けの面白い句意が消えてしまうことがある。また、句意に重点をおき過ぎると、とんでもない破調になりかねない。バランスが大切となる。

 句意を強めるために使う「オノマトペ」や「リフレイン」これの上手いなと思った句を少し挙げたい。

「オノマトペ」

咳をした途端アレレレレレレレレ
 岡ア美代子
 濱山哲也さんの「前月鑑賞文」にも取り上げられた、経験者の頷きが見えそうな句。

鳥の声「みちょば」に聞こえ笑いだす 竹口みか子
 「みちょば」お分かりかな?モデル池田美優のことですね。

疲れたら猫をもふもふしに行こう 樋口 りゑ
 
新語?と思いきや、市民権を得ている?言葉。「もふもふ」に対する言葉として「カキカキ」があるとか。いずれも小動物を触って癒される言葉。オノマトペ?かなあとは思いながら…。

「リフレイン」

お父ちゃん四人姉妹のお父ちゃん 三村  舞
 「川柳展望」最新号の中から。「父が逝く」十句連記の中から。ご冥福をお祈りします。

もう二度とチリ紙に戻れないチリ紙 木村 利春
 
今年の大会事前投句の入選句。チリ紙が効いている。

出てほしい出てほしくない稀勢の里 吉崎 柳歩
 
意味が違うが、効果のある繰り返し。

 句意をつかまえて、句姿を整えたい。

                                        柳歩

 
すずか路より
木犀の香り仏間に入れる窓 鈴木裕子
秋祭りお囃し音が乾いてる 長谷川健一
台風と選挙葬儀で日が暮れる 竹口みか子
押し問答いつも妻には押し切られ 瓜生晴男
歳忘れても忘れていない誕生日 加藤吉一
トランペットの匂いに惹かれ庭に出る 安田聡子
シャネル5番も生活臭も好きでない 芦田敬子
入院費カード払いで済む時代 圦山 繁
携帯の番号急に出てこない 千野 力
どんぐりを拾ってしばし若返る 西川幸子
欲しいのはオンオフ機能ついた耳 小川はつこ
人情の機微が薄れたご町内 鍋島香雪
全身をゆるませ孫とにらめっこ 小出順子
争いはしないのんびり蝸牛 高柳閑雲
一合を二日で食べている二人 川喜多正道
人間の尊厳捨てる検診日 石崎金矢
凪の海きっと孤独を知っている 柴田比呂志
灯がともるみんな幸福ごっこして 竹内そのみ
パソコンを使う仕事は久しぶり 樋口りゑ
頑固な貴方にまぶしてみたい塩麹 眞島知恵
古希傘寿会えば今でも三姉妹 加藤峰子
ロボットの壊し合いする未来戦 福村まこと
二次会を途中で抜けて寒い月 佐藤千四
もしかしてMも持ち込む試着室 西野恵子
名も知らぬきのこ上げると言われても 寺田香林
セキュリティーチェック日本はまだ甘い 瀬田明子
正論はもっと大事にされてよい 西山竹里
落ち込んだ顔に悩みが書いてある 岡ア美代子
国難と民を煽っている詭弁 日野 愿
平凡なひと日ひと日にある恵み 澁谷さくら
コスプレでジムのハロウィン盛り上げる 神野優子
特上の香りを添えて来るメール 上村夢香
人差指で人を指してはいけません 前田須美代
心強い近くに出来た消防署 岩谷佳菜子
三百円でひと月使うトイレ紙 西垣こゆき
熟柿もう子らを集める力失せ 松岡ふみお
裏側の顔もしっかり化粧する 坂倉広美
溝掃除は延期選挙は前倒し 橋倉久美子
面倒な栗より旨いサツマイモ 北田のりこ
当たり前の暮らしに転ぶ傷が増え 河合恵美子
カタログのお返し品が決まらない 中川知子
乗客のいる限りある無人駅 落合文彦
団結をさせないために有る格差 毎熊伊佐男
ちょっとした嘘だがあとで痛む胸 寺前みつる
追いかけてみてもサヨナラホームラン 吉崎柳歩
リセットをするには拡げすぎた羽根 青砥たかこ
 

整理・柳歩

10月28日例会より
宿題「苦い」 橋倉久美子 選と評
   肝臓が苦そうに聞く呑む話 青砥たかこ
   初恋破れ飲んだカルピス苦かった 毎熊伊佐男
 止  苦そうな人はオブラートで包む 西山竹里
 軸  熟年の恋は秋刀魚のわたの味 橋倉久美子
宿題 共選「普通」 樋口 りゑ 選
   皺と染み歳相応といなされる 西垣こゆき
   回るのが普通になった寿司屋さん 中村あけみ
 止  物忘れ普通にできる歳になる 圦山 繁
 軸  みんな言う普通の家庭でしたよと 樋口りゑ
宿題 共選「普通」 圦山 繁 選
   一人しか普通はいない配偶者 西山竹里
   普通という答が好きなアンケート 芦田敬子
 止  職場では見せぬ普通でないところ 橋倉久美子
 軸  物忘れ普通にできる歳になる 圦山 繁
宿題「自由吟」 青砥たかこ 選と評
   安っぽくなった希望という言葉 吉崎柳歩
   行方不明になるプレミアムフライデー 北田のりこ
 止  片思い何回してもかまわない 吉崎柳歩
 軸  スーパーのトイレ惣菜買う前に 青砥たかこ
席題「眩しい」 清記互選 高点句
 9点  眩しさを言い訳にしたミスショット 中川知子
 7点  眩しさで威嚇してくる対向車 芦田敬子
 6点  昼の月さえも眩しい二日酔い 橋倉久美子
   候補者に眩しく見える当の文字 圦山 繁
 5点  真夜中も眩しいコンビニの明かり 樋口りゑ
 
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『読む』  応募102句
 20点  名人も最初は読んだ入門書 西山竹里
    読み終えぬうちに字幕が消えていく 北田のりこ
 16点     読み方は自由に決めてよい名前 西山竹里
 11点   字幕読むことも忘れるラブシーン 芦田敬子
   予報士も読めぬ夫婦の空模様 西野恵子
 10点    遺言と言う自叙伝を読まされる 岡ア美代子