吉崎柳歩 選(入選39句)
トンボがけ補欠球児の長い影 |
伶音 |
入部して上手になったとんぼがけ |
さだえばあちゃん |
甲子園秋を知らせる赤とんぼ |
松長一歩 |
アキアカネ不意に秋風つれてくる |
瀬田明子 |
温暖化トンボも季節狂わされ |
山田明 |
*トンボから尾行をされたことがある |
甲斐良一 |
*無観客席を陣取るオニヤンマ |
内田政竜 |
釣り竿の先へとんぼがホバリング |
ホッと射て |
竿に来るトンボも釣りが好きらしい |
岡本恵 |
ヤゴだったこと知られたくないトンボ |
北田のりこ |
やがて空飛ぶと信じて育つヤゴ |
戴 けいこ |
ブーメランに憧れている竹トンボ |
芦田敬子 |
ドローンに主役譲った竹とんぼ |
村田博 |
伝言があるのか門の赤とんぼ |
福島亮也 |
尻切れたトンボが群れる永田町 |
冬子 |
首傾げ思案しているオニヤンマ |
城門塵 |
複眼で世の中見よというとんぼ |
徳重美恵子 |
*トンボ追い出して急いで閉める窓 |
橋倉久美子 |
凧ほどは風と対峙をせぬとんぼ |
福村 まこと |
*父らしく生真面目に飛ぶ竹とんぼ |
澁谷さくら |
想定外をいつも飛んでる竹とんぼ |
糀谷和郎 |
人生はひらひら糸トンボは軽い |
佐藤ちなみ |
山ガールの達成感に赤とんぼ |
鈴木由美子 |
テレワーク窓の向こうに赤とんぼ |
山崎三毛 |
大吉か帽子に止まる赤とんぼ |
高田桂子 |
*古里のトンボと東京へ逃げる |
虹色くじら |
雨上がりトンボがつつく水たまり |
青砥和子 |
恋をしてトンボと待った無人駅 |
真田 義子 |
望郷の空をたゆたう赤とんぼ |
新家完司 |
とんぼ背にひと休みする外回り |
西岡ゆかり |
*海越えてみようと思わないトンボ |
戴 けいこ |
*旅人とすぐに仲よくなるトンボ |
柴田比呂志 |
考えごとしながら飛んでいるとんぼ |
西山竹里 |
*放たれて途方に暮れているトンボ |
おさ虫 |
*しげしげと手配写真を見るとんぼ |
佐佐木雀区 |
*もう何も背負えぬ肩にとんぼ乗る |
徳重美恵子 |
秀3*兄ちゃんは元気だろうか秋茜 |
平井美智子 |
秀2
赤とんぼ母に残っていた記憶 |
よしひさ |
秀1
教室の午後を覗きに来たトンボ |
甲斐良一 |
評
生徒も先生もちょっとけだるい午後の授業。もう秋だけど夏の暑さが残っていて窓
も開けてある。まるで参観に訪れたようにトンボが迷い込んでくる。絵が見える川柳。
軸 一駅を一緒に乗った赤とんぼ 吉崎柳歩