目次02年1月号
巻頭言 「子年」
すずか路
・小休止
・川柳つれづれ
・人と句「水たまり」を読んで
・例会
・例会風景
・没句転生
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・お便り拝受・あしあと
・大会案内など
・年賀広告
・全日本川柳大会案内
・編集後記

 


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巻頭言

「子年」

新年おめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 平成が三十年で終わり、令和最初の年の干支がねずみ年であることは、覚えやすい気がします。
 子年生まれの人は、よく動きよく働きどんな環境にも対応することができ、更に危険を察知できる能力を持っているそうです。社交性や柔軟性も兼ね備え、人間関係でのトラブルは比較的少ない、友達や家族も大切にするため、他人事に顔を突っ込むおせっかいな所もあるようです。大黒様の神使はネズミとされるところから、蓄財運が強く表れる…と、運勢暦に書かれています。

 亡父がこのねずみ年でした。ここまで書いて十二年前の柳誌を引っ張り出しましたら、やはり亡父のことを書いています。亡父は何でも一番が好きでした。ねずみ年だったからでしょうか。そして、他人のために朝から晩まで東奔西走する人でしたから、運勢暦に書かれていることは当たっているようです。

 子年生まれの著名人を検索してみました。マツコ・デラックス。力道山、貴乃花光司などイメージが湧かない人がいて笑えました。
 平成の子年はどんな年だったでしょう。主だったものを挙げてみます。

一九九六年(平成八年)
英国のチャールズ皇太子とダイアナ妃離婚
・アトランタオリンピック開催
・条約(CTBT)が採択される
・原爆ドーム世界遺産に登録される

二〇〇八年(平成二〇年)
・インド洋M7、5の地震発生
・中国四川省大地震発生
・北京オリンピック開催
・リーマンショック
・ノーベル物理学三名受賞
・日本でiphone発売

 今年は東京五輪が無事開催されることを、まず祈りたいものです。

                                           たかこ
 

 
すずか路より
自分でも読めない文字で日記書く 坂 茜雲
大掃除しなくても来るお正月 大川里子
笑い声増えてきたかな三回忌 岩谷佳菜子
家の前に投げ捨てられたゴミ処分 西垣こゆき
腹凹む願いを込めて麦を混ぜ 松岡ふみお
御用御用と元日が走り出す 坂倉広美
何となく書かねばならぬ年賀状 勝田五百子
酒の味分からなくてもすぐ酔える 竹島 晃
ちょうどよく酔うのも割と難しい 橋倉久美子
いろいろとすることあるが気が向かぬ 北田のりこ
保育室の音声多重聞き分ける 中川知子
カラオケに誘われ音痴だと言えず 河合恵美子
説教をしていた方が疲れ負け 落合文彦
年一度蛤食すえべっさん 毎熊伊佐男
ボーナスをもらった孫のお年玉 村井一朗
神棚に挙げて忘れた宝くじ 奥田悦生
人間の停年火葬場のけむり 寺前みつる
SOS子機で子ら呼ぶ枕元 鈴木裕子
一年がやっぱり早い一周忌 竹口みか子
小菊咲く色とりどりの虹の色 瓜生晴男
令和飾るノーベル賞のいい笑顔 加藤吉一
二人鍋牡蠣を数えてあたたまる 安田聡子
ジングルベルを聞きながら書く年賀状 芦田敬子
腹切るか薬にするか迷う日々 圦山 繁
機種変更家族で来いと書いてある 西川幸子
鼻風邪をひいてはならぬ麻薬犬 小川はつこ
球根は欠けても丸い花咲かす 長谷川健一
この分じゃ今年も会えぬ雪女 小出順子
一キロも増えてないのに脂肪肝 川喜多正道
冬の釣り越冬隊のいでたちで 柴田比呂志
母を恋う母の仕種が身について 竹内そのみ
迂遠が過ぎてロマンスに届かない 樋口りゑ
防寒はバッチリ高所作業員 眞島ともえ
柏手を夢よ叶えと響かせる 小林祥司
着ぶくれて歩幅の縮む散歩道 福村まこと
臍は真ん中たとえ曲がっていようとも 佐藤千四
被災地を思うとくだらない悩み 西野恵子
痛みには歯医者嫌いも腹くくる 瀬田明子
安倍さんにお追従しか言えぬ党 西山竹里
堂堂と証拠隠滅致します 日野 愿
緑の波押し寄せて来たお葬式 玉木りょうこ
おひさまに当てておかねば枯れる母 澁谷さくら
母さんのプライドあってお年玉 神野優子
風通し良くするために切った髪 前田須美代
天然の猪肉と書く道の駅 佐藤近義
昔なら御法度だったはずカジノ 吉崎柳歩
絞ったらまだ少しだけ出る勇気 青砥たかこ
 

整理・柳歩

12月27日(金)例会より

宿題「失敗」 吉崎柳歩 選と評
   ゴミ箱を覗かれ失敗がばれる 橋倉久美子
   ピノキオの鼻が失敗認めない 坂倉広美
 止  左手の失敗気にしない右手 川喜多正道
 軸  官僚がする安倍さんの尻拭い 吉崎柳歩
宿題 共選「腕」 木村行吉 選
   凡人を装う腕利きの刑事 北田のりこ
   二の腕に年齢バラす種痘痕 福村まこと
 止  利き腕はなさそうロボットのアーム 吉崎柳歩
 軸  お帰りと腕を広げる定置網 木村行吉
宿題 共選「腕」 小出順子 選
   監督の腕の成果が順位表 佐藤近義
   果たし状こちらも腕をあげている 日野 愿
 止  来年も腕を組みたい福の神 小林祥司
 軸  しびれても猫に貸してる腕枕 小出順子
宿題「自由吟」 日野 愿 選
   友だちが逝くと歳月加速する 吉崎柳歩
   珍しく眠れ頭が冴える朝 竹口みか子
 止  シクラメン運ぶ軽トラ楽しそう 岩谷佳菜子
   神仏に祈らないから迷わない 日野 愿
席題「暴れる」 清記互選 高点句
11点  暴れると手が付けられぬ原子力 木村行吉
 8点  詰め込めば機嫌が悪い洗濯機 中川知子
 7点  旨そうに暴れて見せる活け造り 橋倉久美子
   暴れぐせの髪を押さえるニット帽 青砥たかこ
 6点  目が合った途端に暴れ出すハート 樋口りゑ
   暴れそうなので制服着せておく 吉崎柳歩
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 馴染む 』  応募100句
  15点  着古した服が案山子によくなじむ 橋倉久美子
  13点   新機種に馴染んだ頃に次の機種 西山竹里
  12点    カサブタは馴染んだ頃に剥がされる 岩田眞知子
      農協の帽子が馴染む定年後 濱山哲也
  10点   夕刻のセール待ってる顔馴染み 中川知子
   9点  かけたてのパーマが顔になじまない 橋倉久美子
     親よりも先に馴染んだ子の訛り 加藤吉一
     八十路でも幼馴染みはチャンと呼ぶ 安田聡子