目次02年7月号
巻頭言 「三密の大会」
すずか路
・小休止
・川柳つれづれ
・人と句「さくらいろ」を読んで
・例会
・例会風景
・没句転生
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・お便り拝受・あしあと
・大会案内など
・暑中広告
・編集後記

 


柳歩
久美子・柳歩整理
こゆき・祥司
柳歩
たかこ

たかこ
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巻頭言

「三密の大会」

 例年であれば六月は鈴鹿市民川柳大会が開催される月である。今年も例年と同じ第四日曜日の28日に挙行される予定であったが、ご多分に漏れず止むなく来年に延期することにした。しかし当月は、四ヶ月ぶりに通常形式での例会を開くことができた。

 介護や保育の業務に携わる2名は自重されたが、出席者18名、欠席投句者25名と、まずまずの盛会であった。会場は二階のホールが取れなかったので、いつもの会議室。机をスクール方式に並べ替え、3人座れる長机に2人座ってソーシャルディスタンスを確保するのが精一杯。手作りのフェースシールドを各人に用意しマスクと併用、晴天であったので窓を全開したうえでエアコンを付けっぱなしにした。以前の例会とは、かなり雰囲気は違うが、宿題はもちろん、席題もあって「座の文芸」は一応復活した。披講の醍醐味と席題互選の斬ったり斬られたりのディスカッションの楽しさも味わうことができたと思う。

 六月開催予定だった全日本川柳秋田大会も、曲折を経て結局誌上大会に変更された。本年開催予定の大会の多くは、誌上大会に切り替えるか、会場、宿題、選者などはそのままで来年に延期、のどちらかであって、「中止」というのは少なかった。

 我が鈴鹿川柳会主催の大会も、一応今年の開催要領をそっくりそのまま、来年の六月第四日曜日の27日に延期としたのであるが、それはあくまで新型コロナウイルス禍が完全に終息していれば、の話である。しかし現実には完全な形(罹患の心配のない状態)での終息には、三年はかかるという。

 鈴鹿市民川柳大会に参加された方はご承知のとおり、この大会は「三密」の塊のようなものである。句会場は、宴会場として120名が限度のところ昨年は129名を収容、懇親会も72名参加していただいたが、これもすし詰め状態であった。ではどうするか?代替会場を探すのも一案だが、もう十年もお世話になっている『東樽』さん。なんとかここで開催する方策を練っていきたい。

 
                                          柳歩

 
すずか路より
念入りに準備体操する歳に 千野 力
酒飲まぬ夫も少しつまらない 小出順子
お中元限定品を自分買い 川喜多正道
脇の下くすぐりながら自粛中 柴田比呂志
水加減多めで丁度いい御飯 竹内そのみ
どんな音かと聞かれても困る滝 眞島ともえ
無観客ボクはいつでもテレビ前 小林祥司
遺影探し困りはしない家族葬 藤村洋子
電通の高給見える癒着ぶり 小野教彦
疫病が貧富の格差炙り出す 福村まこと
田植機が歌う節なし田植歌 佐藤千四
紫陽花の心変わりが美しい 西野恵子
手仕事を楽しむ梅雨も悪くない 瀬田明子
謝罪にはワンフレーズの安倍総理 満月庵
じわじわと増える耳障りな言葉 西山竹里
少量のビールはよいという名医 日野 愿
病得てあなたのよさが見えて来た 岡ア美代子
悔いはないがこころ残りはたんとある 澁谷さくら
夢に出た亡母が元気でほっとする 玉木りょうこ
マスクして無理な笑顔は作らない 神野優子
先生と呼ばれ喜ぶ人なんだ 前田須美代
いきなりの夏日やられた暑気あたり 佐藤近義
聞屋さん社説でやっと自己主張 坂 茜雲
浴衣着てあやめと競う艶っぽさ 大川里子
ステイホームどんどん増える独り言 岩谷佳菜子
行列を避けて流行らぬ店へ行く 西垣こゆき
あれにこれこれはあれにと品定め 松岡ふみお
オンラインと闘っている子のいくさ 坂倉広美
目薬がまたどっさりとややこしい 勝田五百子
自粛あけ図書館椅子が姿消し 竹島 晃
愛車にもステイホームをさせている 橋倉久美子
文春砲的はずさないスキャンダル 北田のりこ
マスク取ればジッと見つめる0歳児 中川知子
さすがニッポン手作りマスクお手の物 河合恵美子
平熱を知った体温計る日々 落合文彦
秒読みに入る内閣総辞職 毎熊伊佐男
いろはにほへど言の葉に噛みつかれ 村井一朗
お陰様古稀二年目の誕生日 奥田悦生
レシピ通りぶり大根のうまいこと 鈴木裕子
睡眠薬週に五日は飲んでいる 竹口みか子
風邪で熱一瞬コロナ疑って 瓜生晴男
人参とは思えぬような花が咲く 加藤吉一
テレビ消し楽しい話はじめよう 芦田敬子
雑草の強さに負けてばかりいる 圦山 繁
診察券ほどキャッシュカードは持ってない 西川幸子
オンライン飲み会どこかウソくさい 小川はつこ
素うどんをみんなで食べてランチする 長谷川健一
「日本一」に惹かれ鯛焼き買ってみる 水谷ちか子
ターザンもスーパーマンもするマスク 吉崎柳歩
歯科眼科耳鼻科の医師も命がけ 青砥たかこ
 

整理・柳歩

6月27日(土)例会(出席者18名・欠席投句者25名)より

宿題「免疫」 吉崎柳歩 選と評
   免疫がつかぬ課長のお説教 河内秀斗
   ステイホーム免疫力が低下する 岩谷佳菜子
 止  イチゴパフェ食べて免疫強化する 西山竹里
 軸  免疫ができたか心地よいマスク 吉崎柳歩
宿題 共選「悔しい」 竹口みか子 選
   悔しくても三度の飯はちゃんと食う 佐藤近義
   悔しさの数々生んだのはコロナ 澁谷さくら
 止  悔し涙なんか拭きたくないタオル 橋倉久美子
 軸  理不尽と隣り合わせで生きている 竹口みか子
宿題 共選「悔しい」 川喜多正道 選
   炒飯の具にして悔しさを食べる 柴田比呂志
   徹夜した資料上司のメモ用紙 河内秀斗
 止  悔し涙なんか拭きたくないタオル 橋倉久美子
 軸  日に五回磨き続けて削れた歯 川喜多正道
宿題「自由吟」 橋倉久美子 選
   自意識の強いホタルがよく光る 吉崎柳歩
   我が子かと思う名前のトマト買う 芦田敬子
 止  捨てられた空き缶日毎類を呼ぶ 西垣こゆき
   プチトマトもパセリも白い皿が好き 橋倉久美子
席題「潰す」 清記互選 高点句
10点  塗り潰すから何かあるなと思われる 小川はつこ
 9点  約束をいくつ潰してきたコロナ 吉崎柳歩
 6点  分かっているが潰したくなる水膨れ 芦田敬子
   一強に票潰しあう都知事選 川喜多正道
 5点  茹で足りぬポテト素直に潰れない 橋倉久美子
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『上品 』  応募112句
  20点  上品に飲まなくていい大ジョッキ 吉崎柳歩
  12点   上品な味だが満腹にはならず 北田のりこ
  11点     上品と言われて膝が崩せない 竹内そのみ
  10点   上品に食べると味が分からない 青砥たかこ
   9点   上流が上品だとは限らない 毎熊伊佐男
    7点  隠しても隠し切れない品の良さ 小野教彦
    上品とは言えぬ妻だが手離せず 中村あけみ
    上品が影をひそめるバイキング 白井 昭
    ゆったりと生きて長老たる気品 よしひさ