目次02年10月号
巻頭言 「大会再会に…」
すずか路
・小休止
・川柳つれづれ
・人と句「雪炎え」を読んで
・例会
・例会風景
・没句転生
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・お便り拝受・あしあと
・大会案内など
・編集後記

 


柳歩
久美子・柳歩整理
千四・優子
柳歩
たかこ

たかこ
柳歩
久美子
小川加代さん
柳歩

たかこ








 
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巻頭言

「大会再会に向けて」

 コロナに対応した「新しい生活様式」なるものが推奨されている。ソーシャルディスタンスや、マスク、手洗いの励行などは長引きそうではあるが、コロナが終息するまでの限定された期間の生活様式だろう。

 コロナ第一波の収束に向けては、生活様式に加えて三密の排除、不要不急の外出自粛等が求められた。東京都以外は5月頃には感染者もかなり減り、収束の兆しが見えていたので、鈴鹿川柳会の7月例会は、対策を取った上で開催したが、国民文化祭ほか、今年予定されていた大会はすべて中止、来年に順延、もしくは誌上大会に変更された。誌上大会は以前から存在し、手軽なためか近年増加してきた。加えて「普通の大会」の多くが切り替わったので、令和2年は誌上大会オンパレードの年と相成った。

 誌上大会は、大会とは銘打っているものの、参加者(投句者)には臨場感が全然ない。大相撲やプロ野球などの無観客試合と比べるのは妥当ではないが、力士や選手にとっては、張り合いは薄らぐかも知れないが「場所」や「試合」を成立させる主役であることに変わりはない。無観客でもテレビ桟敷には大勢の観客が存在する。
 一方、我が川柳の誌上大会には、事前投句者という参加者は存在するが、大会の華である披講、呼名という臨場感と昂揚感は味わえない。後日、発表誌を見て結果を確認するだけのことである。これではとても「大会」とは呼べない。

 5月末、東京はまだ収束の兆しも見えないのに、首都圏も緊急事態宣言を解除してしまった。そのため、肝心な封じ込めができないままに、全国に第2波が及んでしまった。この状態では来年に延期した川柳大会も、その開催が危ぶまれる。
 「新しい生活様式」として、オンライン授業、会議、テレワークなどが推奨されている。川柳の大会において、従来の方式に替わる「新しい様式」はあるだろうか?
 鈴鹿川柳会では、HPで昔からやっている「ネット句会」と、「ソーシャルディスタンスを確保した大会」との融合を、模索しているところである
 
                                          柳歩

 
すずか路より
デジタル化バックアップは忘れなく 満月庵
良心を麻痺させてゆく人事権 西山竹里
泊まるのはカンポと決めて山登り 岡ア美代子
ひとりごといいえ相手はほとけさま 澁谷さくら
なさけない私になって酒を飲む 玉木りょうこ
出産の準備整い秋を待つ 神野優子
カヌーデビューマングローブを一人占め 前田須美代
愛しいと想う日もある妻の皺 坂 茜雲
虫たちの音色に合わすウォーキング 大川里子
暇そうに子供待ってる遊具たち 岩谷佳菜子
彼岸花髪に挿したい色形 西垣こゆき
店三日閉じれば死去という噂 松岡ふみお
相槌を打たれてあとが続かない 坂倉広美
私よりみんなお若い高齢者 勝田五百子
家飲みでビールのラベル全部飲む 竹島 晃
雑談のほうがお経よりも長い 橋倉久美子
冷房切って秋の虫の音入れる窓 北田のりこ
馬鹿正直に徹するほかはない仕事 中川知子
DNAやっぱり父と同じ趣味 河合恵美子
コオロギもカエルも住んでいる職場 落合文彦
いましばらく会う気ないので「また今度」 毎熊伊佐男
愛猫のトイレ掃除は苦にならぬ (いただき)けいこ
古希までは生きたと友は潔し 村井一朗
酒肴寿司もやっぱりクロマグロ 奥田悦生
被服費をゼロで済ませた六ヶ月 鈴木裕子
古里のとうもろこしで夏終わる 竹口みか子
着替えして柄のTシャツ若返る 瓜生晴男
コロナ国難終戦直後思い出す 加藤吉一
坊さんもマスクを掛けて経をあげ 芦田敬子
一坪の庭にコスモス咲いて秋 圦山 繁
入閣を告げるテロップこうるさい 西川幸子
プラごみと鴨がいっしょに浮いている 小川はつこ
遺る者心配しつつ姉が逝く 水谷ちか子
妻と子に何もできない身を詫びる 長谷川健一
血圧の薬相性いいみたい 小出順子
コロナ禍で積ん読かなり減ってきた 川喜多正道
若いねと言われ蕾になっている 柴田比呂志
ノーメイクマスクに泣いた美容界 竹内そのみ
TikTok時計の話かと思う 眞島ともえ
ほどほどの毒を薬に生きてます 小林祥司
棚ぼたのお味はいかが菅総理 藤村洋子
清々しさのかけらも見えぬ菅総理 小野教彦
オーロラに酷い夏だと愚痴こぼす 福村まこと
大勢で鳴かねばならぬ蝉時雨 佐藤千四
待つ人がいた幸せな時もあり 西野恵子
スマホまでまさか熱中症ですか 瀬田明子
寂しいか隣の犬が夜泣きする 吉崎柳歩
謎少しあって興味が湧いてくる 青砥たかこ
 

整理・柳歩

9月26日(土)例会(出席9名欠席投句32名)より

宿題「焦る」 吉崎柳歩 選と評
   焦らずに壁画仕上げるバンクシー 川喜多正道
   長い列レジ打つ人は焦らない 圦山 繁
 止  伐採をけっして焦らない樵 毎熊伊佐男
 軸  焦るからバリアフリーで蹴躓く 吉崎柳歩
宿題 共選「しんみり」 岩谷佳菜子 選
   ひとり酒飲み放題はきらいです 竹内そのみ
   リング跡にしんみりとする薬指 加藤吉一
 止  葬儀屋のしんみりさせる企画力 福村まこと
 軸  コロナ禍でプールしんみり夏が過ぎ 岩谷佳菜子
宿題 共選「しんみり」 川喜多正道 選
   しんみりはしないでほしい手術室 西山竹里
   皆帰りしんみりとなるかくれんぼ 岩谷佳菜子
 止  裁くより諭す裁判官の声 橋倉久美子
 軸  しんみりと聴くカザルスの「鳥のうた」 川喜多正道
宿題「自由吟」 橋倉久美子選
   これ以上進化しなくてよい案山子 西山竹里
   若づくりしたはずなのに席どうぞ 大川里子
 止  観光客来ない街にもみやげ物 河内秀斗
   酒癖の悪さを問題にされる 橋倉久美子
袋回し 8名参加 各題天の句
橋倉久美子選「決める」 エンピツを転がし決めていく余生 河内秀斗
川喜多正道選「食べる」 恋人と食べると旨い塩結び 吉崎柳歩
毎熊伊佐男選「妥協」 芋がないので麦のロックにしておこう 橋倉久美子
岩谷佳菜子選「ユニホーム」 一日中パジャマが僕のユニホーム 毎熊伊佐男
芦田敬子選 「渡る」 スクランブル渡るときには自由人 橋倉久美子
河内秀斗選 「止める」 生きるのを止めては元も子もないよ 毎熊伊佐男
吉崎柳歩選 「令和」 天皇の顔が見えていない令和 川喜多正道
青砥たかこ選「箱」 ありがとうみんなに言って入る箱 吉崎柳歩
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 影 』  応募110句
  12点  影踏みの邪魔をしにくるちぎれ雲 橋倉久美子
     先代の影を残している老舗 吉崎柳歩
  11点      好きな子の影は踏まない鬼でいる 芦田敬子
  10点  影がある人に惹かれる癖がある 竹口みか子
     影を入れ少しは高く見せる鼻 平尾定昭
    8点   影までが水欲しがっている猛暑 橋倉久美子
    冬は避け夏は求めている日影 北田のりこ
     キャッシュレス諭吉の影は薄れ行く 鈴木章照
    古希過ぎてとても優しくなった影 前田須美代