目次03年11月号
巻頭言 「袋回し」
すずか路
・小休止
・川柳つれづれ
・人と句「北山まみどりさん」
・例会
・例会風景
・没句転生
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・お便り拝受・あしあと
・大会案内など
・編集後記

 


久美子
久美子・柳歩整理
吉一・そのみ
柳歩
たかこ

たかこ
柳歩
久美子
月波与生さん 
柳歩

たかこ








 
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巻頭言

「袋回し」

  既発表句を発表誌・題とともにエクセルで記録しているのだが、去年の今ごろはどんな句を作っていたのかと何気なく見て驚いた。 「すずか 10月号」として、「決める、妥協、ユニホーム、渡る、止まる、令和… … 」と、十題ほどが並んでいるのである。何だこれは?と思いながら柳誌そのものを見て納得がいった。去年の九月句会では、袋(封筒)回しをしているのだ。

  去年は、初めての緊急事態宣言の発令等により、三、四、五月が投句例会(「今見ればとてもかわいい第一波」(竹里)なのだが、当時は突然かつ経験のない事態に、どの柳社も対応に苦慮していた)、六、七月例会はそれまで通り二十名近くの出席者があったが、第二波となった八月は再び投句例会。
  この頃になると一応の対策も社会全体に浸透してきて、感染予防のため出席を見合わせる方もあり、九月例会は出席者が九名にとどまった。このため、「席題で互選は可能か相談の結果、袋回しをしてみようとなった。初めての秀斗さん、臆することなくすぐに理解され、スムーズに進んだ」と、「例会風景」に記録されている。

   例会での袋回しは、当然ながら素面で行うわけだが、本来これは余興的なものなので、お酒と相性がよい。鈴鹿では大会の懇親会の二次会や忘年会での定番になりつつあったし、めいばんの例会後、小林祥司さんらがお世話してくださる「なもなも反省会」でも恒例のお楽しみだった(私は年に一度ぐらいしかお邪魔していないが)。しかし新型コロナが広まってからは、大会や忘年会自体が開けない状態だし、反省会どころか毎月の例会も、感染状況を見ながら開催の可否を考える状況が続いている。

   「コロナ時代」になって間もなく二年。ワクチンに続いて治療薬も開発されつつあるようだが、何の不安もなしに袋回しを楽しめるようになるには、もう少し時間がかかりそうである。

(ちなみにほほえみ川柳会では、三か月に一度、席題に代えて封筒回しを行っている。先日、久々に袋回しがしたい!と思い、七月例会に押しかけ、楽しませていただいた。ありがとうございました)

                                                                    久美子

 
すずか路より
冗談でもちょと嬉しい褒め言葉 岩谷佳菜子
玄関に防犯チラシ貼っておく 西垣こゆき
美味しさをてんこ盛りする立候補 松岡ふみお
ショパン聴く若さを誇るオジーサン 坂倉広美
彼岸花金木犀と秋確か 竹島 晃
配達の弁当温い狸そば 勝田五百子
アクリル板とマスク会話の邪魔をする 橋倉久美子
集団登校集合場所は回り道 北田のりこ
心まで渇かぬように水を飲む 中川知子
血圧の意地悪受診日に上がる 河合恵美子
いざという時にいつものおまじない 落合文彦
遊歩道肩に紅葉が降りてくる 竹尾佳代子
再配分の前に分配富裕層 毎熊伊佐男
急ぐ人止めて楽しむ信号機 戴 けいこ
日本の腰が曲がってきた令和 河内秀斗
歳時記も困惑顔の季節感 村井一朗
新車には乗せたくはないゴミ袋 西岡ゆかり
アナログのネットを纏い生きて行く 奥田悦生
ワンピースでは都合の悪い診察日 鈴木裕子
妻は留守昼日中から缶ビール 瓜生晴男
草退治だけの寂しい耕運機 加藤吉一
富士山の見える古墳の散歩道 芦田敬子
大輪の菊と競いはせぬ野菊 圦山 繁
ある日突然他人に見えてくる夫 小川はつこ
一人旅様変わりしたテレビ塔 水谷ちか子
月は欠けても心は欠けぬ十三夜 長谷川健一
花時計恋の季節を知っている 小出順子
生きてます物干し竿で踊るシャツ 藤村洋子
一途になろうと芒の穂と遊ぶ 柴田比呂志
野良犬の自由やがては捕獲され 竹内そのみ
四人目の孫も抱きたい十二月 川喜多正道
お隣へ妻の声だけよく届く 小林祥司
懐かしい記憶が消えていく更地 眞島ともえ
二泊した孫と涙の別れする 加藤峰子
自家製のワイン持ち寄るコミュニティー 福村まこと
オール2の孫の背丈はよく伸びる 佐藤千四
コロナ禍にネコやカラスが元気いい 瀬田明子
震度五が防災の不備あぶり出す 満月庵
十月に参拝しても神は留守 寺井一也
もうすでに忘れ去られている菅氏 西山竹里
うたたねにふわりと掛けられた毛布 澁谷さくら
名も知らぬ庭木小鳥の蒔いた種 玉木りょうこ
助手席に駐車の位置を指図され 磯浜基十
リビングにあんよ待ってるベビー靴 神野優子
異端児と言われ続けてもはや古希 前田須美代
まだ生きる絵描き句作り医者通い 坂 茜雲
特売品工夫次第で星三つ 大川里子
ミカン剥くようにはいかぬ茹で卵 吉崎柳歩
切らさない醤油と味噌のある暮らし 青砥たかこ
 

整理・柳歩

10月23日(土) 全員欠席投句43名より

宿題「ぼんやり」 青砥たかこ 選と評
   二人ともぼんやりしてて鉢合わせ 竹島 晃 
   ぼんやりな日本ミサイル射程距離 関本かつ子
 止  ぼんやりとしていてほしい変異株 𠮷崎柳歩
 軸  少しだけぼんやりさんの嫁で楽 青砥たかこ
宿題 共選「袋」 小川はつこ 選
   お守り袋いくつもつけたランドセル 北田のりこ
   お宝は眠っていない天袋 中村あけみ
 時々は袋にもなる油あげ 橋倉久美子
 軸  難儀して開けるお店のポリ袋 小川はつこ
宿題 共選「袋」 毎熊伊佐男 選
   時々は袋にもなる油あげ 橋倉久美子
   良い酒で笑い袋になっている 小川はつこ
 止  もう一期袋叩きが嫌で止め 竹島 晃
 軸  袋小路にはまり迷宮入りとなる 毎熊伊佐男
宿題「自由吟」 𠮷崎柳歩  選と評
   コスモスが咲いて今だけ道しるべ 戴 けいこ
   岸田氏になって成立する会話 西山竹里
 止  都会には合わない人も住む都会 加藤吉一
   紙芝居より単純な政治劇 𠮷崎柳歩 
席題「揺れる」 高点句
 7点 特急と違うローカル線の揺れ 橋倉久美子
 6点 じっと見る体重計の針の揺れ 小川はつこ
 5点 コロナ減り揺らしはじめた縄のれん 芦田敬子
 4点 揺れてても根性があるやじろべえ 岩谷佳菜子
  人を待つブランコ所在なく揺れる 青砥たかこ
誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 達者 』  応募112句
  20点  通院が毎日できるほど達者 西山竹里
  12点   芸達者になろうと猿は思わない 圦山 繁
  1 0点   達者だと言うが気になる電話口 竹内そのみ
    病院は達者なうちに行くところ 勝田五百子
   9点   キックして達者を知らすお腹の子 福村まこと
   8点  腕よりも口が達者な鍋奉行 𠮷崎柳歩 
   達者ですナアと小指を出して見せ 坂倉広美
  7点   達者です今日も安酒飲んでます 濱山哲也
      日本語がみんな達者な相撲取り 西山竹里
      達者だと言い張る人の医者嫌い 青砥たかこ
      やりくりの達者な母は小金持ち 織田広花