目次26年2月号
巻頭言 「 新しい顔」
すずか路
・小休止
・柳論自論
・没句転生
川柳・人と句「 浅野滋子さん」
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・あしあと・その他
・大会案内
・編集後記
 

柳歩
柳歩整理

柳歩
柳歩
たかこ


清水 信さん
久美子
木本朱夏さん


たかこ



 
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巻頭言

「新しい顔」

  今年度からの例会に、自由吟(三句出句)の宿題を加えた。従来の例会は、たかこ・柳歩の交代選の課題一題(三句出句)と、二人共選の課題一題(三句出句)、そして席題互選一題(二句或いは三句出句)のパターンであったが、これは実に平成十四年八月の例会から一貫して続いている。

 課題はヒントなのかピントなのかは意見の分かれるところであるが、課題吟は競争の要素も強いが、「文芸川柳」を得るための手段でもあることに異論はないだろう。課題吟で入選した句の中で、これこそ自分の真実の思いを発露表現したものと言える句こそ、自分にとっての「文芸川柳」である。それならばそろそろ、最初から課題を用いない作品、つまり自由吟を出句しても良いのではないか? 課題吟は、なまじ課題があるために、川柳本来の「川柳味」が歪められてしまう場合が多い。

 川柳味というものは、決して大味なものではない。「微妙な味わい」である。「課題を消化する」という、面白いが厄介な、そして小賢しい考察から解放されて、日常の生活の中で見つけたこと、考えさせられたこと、心に浮かんだことには、その人ならではの微妙な味わいがある。それらを素直に「一句の自由吟」にしたためて持ち寄る。決して競争のためではない。優劣を付けるものでもない。みんなで思いを共有するための試みである。

 例会や大会に自由吟を取り入れている結社は少ない。「川柳展望社」の全国大会では、四人の選者に対して別々の自由吟を出句する。こういう大会は稀である。自由吟では他者との競争という意識も弱まる。選者との共感の度合いによって選別されるのである。

 鈴鹿の自由吟の選者は原則として久美子、柳歩、たかこの順で回して行きたい。一月の例会では、思ったよりたくさんの佳句を聴くことができた。作者の個性が顕れていた。正直うれしい誤算であった。鈴鹿川柳会の「新しい顔」になれたら幸いである。
                                         柳歩            

 

すずか路より
新春の鈴鹿おろしに四股を踏む 瓜生晴男
口パクで国家斉唱する選手 加藤吉一
年の瀬に二つ続けてお葬式 安田聡子
重箱に詰めて正月らしくする 芦田敬子
六十路半ば閉じてはならぬ好奇心 圦山 繁
吊り革にもたれて眠り乗り過ごす 鍋島香雪
敵に会う前に見ておく非常口 小出順子
セーターを着たいと犬は思わない 鈴木章照
じいちゃんの古時計から名古屋弁 青砥和子
ゴールするランナー待っているタオル 山本 宏
自販機の電気節電しませんか 高柳閑雲
年末の第九だけ聴く愛好家 川喜多正道
ちびっこが来ると正月らしくなる    石崎金矢
夢がまだあって星座を諳んじる 柴田比呂志
教養に乏しく開く知恵袋 脇田雅美
寒ければ出かけなくても済む老後 加藤峰子
摂生をしろと歯医者に諭される 佐藤彰宏
保護色をまとい私の道をゆく 西野恵子
電柱がもぐって広くなった空 青砥英規
雨に濡れ座ってもらえないベンチ 尾アなお
百名山思い出連れてくるテレビ 岡ア美代子
初夢は亡き娘の車椅子を押す 神野優子
写真展斬新な目に止まる足 瀬田明子
明日への夢が語れぬフリーター 奥村吉風
良くもまあ呑兵衛ばかり三次会 前田須美代
燃えるゴミばかり作っている机 堤 伴久
近道をしよう利口になったから 水谷一舟
三重苦くしゃみ鼻水目のかゆみ 加藤けいこ
救急車の中で温たい夫の手 小川のんの
日めくりの一言読んで元気出す 石谷ゆめこ
大吉が私の心なごませる 岩谷佳菜子
カーテンを閉め忘れてた風呂上がり 西垣こゆき
ストーブの魔力が僕を引き寄せる 松岡ふみお
いっぽんの線におんなが生きている 坂倉広美
つきだしが旨いと上がる好感度 橋倉久美子
地味だけど母のお節が口に合う 北田のりこ
思い切りサッカーボール蹴りたい日 河合恵美子
みな寄って笑い弾けるお正月 鈴木裕子
役に立つ仕事はないか溝掃除 長谷川健一
国籍を変えて土俵でめしを食う 水野 二
馬と友達になるのも難しい 竹口みか子
味よりも価格気になる土産物 岡田たけお
取りたくはないと言いつつ取る齢 吉崎柳歩
加齢では片付けられぬミス増える 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句24「浅野滋子さん」                                                                                    たかこ


怖がりを一人残して香が揺れ
無事故無違反きれいなままでさようなら
車無くしてから威張り出す歩数計
こんなところでのぞみを止めた春嵐
寺詣で続くいのちを考える

また今日もお出かけですか周りの目
墓洗う何の返事もないけれど
冷静を奪った雷雨これでもか
CTスキャンあっさり秘密あばかれる

約束を果たせぬ手紙書く重さ
待っていてくれる友達いる限り
平成二十五年年賀状
巳の年にひたすら描く治癒の朝
黙想の長さ主治医の声を待つ

長かった治療階段登りつめ
来年も生きるつもりのナフタリン
病名に負けた不眠をふり返る
元気印の旗が振れない口惜しさ

ふらついたあしに妥協の道ばかり
ご無理なきようと疲れを見抜かれる
ひと山を越した笑顔で生きている
平成二十六年年賀状
小康を保ちめでたい初春もらう
 

1月25日(土)例会より
宿題「振る」 青砥たかこ 選と評
  ルビ振って頭へ叩き込む漢字 鈴木裕子
  振ったことはないが振られたことはある 吉崎柳歩
 止 大げさな身振り中身のない会話 西垣こゆき
 軸 サイコロを振ると昭和に戻れそう 青砥たかこ
宿題「午後」(共選) 川喜多正道 選
  銀行に苦情は言えぬ午後三時 加藤吉一
  せっかちな人に合わせて狂う午後 青砥たかこ
 止 昼ドラで女ごころを学んでる 芦田敬子
 軸 午後干した洗濯物も乾く春 川喜多正道
宿題「午後」(共選) 東川和子 選
  愛犬の午後の散歩も欠かせない 竹口みか子
  昼御飯から晩酌までの長い午後 吉崎柳歩
 止 温泉に行くしかないか雨の午後 吉崎柳歩
 軸 ヘップバーンは永遠午後のシネマ館 東川和子
宿題「自由吟」 橋倉久美子 選と評
  今ならば白を黒だと言えるかも 加藤峰子
  飲みにくい薬ストレスひきおこす 加藤けいこ
 止 連番で来ることはない年賀状 圦山 繁
 軸 腹筋を鍛えるように咳をする 橋倉久美子
席題「眼鏡」(互選)
11点 冷静になろうと眼鏡拭いている 吉崎柳歩
 7点 熱々の麺にびっくりする眼鏡 橋倉久美子
 5点 あちこちに百円眼鏡置いている 西垣こゆき
  色眼鏡かけて見ている都知事選 岩谷佳菜子
  都合が悪いと曇るわたしのサングラス 鈴木裕子
 4点 少しだけ世界をゆがめ見る眼鏡 橋倉久美子
  遠近中三つの眼鏡もて余す 川喜多正道
  虫めがねで夫の長所探し出す 芦田敬子
  おーい眼鏡捜索隊が今日も出る 東川和子
 
特別室

 耕とKO                                         清水 信

 加藤耕子主宰の句誌『耕』と英文の『KO』は毎号送って戴く。近刊『耕』は307号である。
「俳句と文章の雑誌」と規定しているところに、主宰の心意気が見える。巻頭に見る主宰の近作。

・杏ジャム煮詰めつ母と子の時間
・緑蔭や犬を真中に風をきき
・一集を編む竹皮を脱ぐやうに

 広告ページに、三重県の主催する「天の一句」の俳句の募集が載っていてイヤになる。北川県政の時開始したもので、豪華一点主義を誇ったらしい、そのやり方の愚かさは、世の識者の非難を浴びたものだが、まだ続いていて、もう十何年かになるだろう。

 テーマ部門が「天」他に自由題の自由部門や、伊勢おもてなし部門があって、「天」というテーマ部門は下選りを三重県俳句協会がやって、本選を有馬朗人、宇多喜代子、中原道夫、星野椿が担当。自由題部門と伊勢おもてなし部門は三重県俳句協会が担当。
 三重県庁内環境生活文化振興課が主管しているが、このために俳句協会が秀れた足跡を残したとは思えないので、三重県の俳句領域の創造力には繋がっていない気がするし、傑出した俳句作家が出ないばかりか、文学運動体としてメッセージにも信頼は置けない。優秀賞の他にも、選者賞やおもてなし賞があるらしい。

 結社活動や同人雑誌の活動に、却ってブレーキをかけているのではないかと思う。どこまで続ける気かと疑う。
 英語俳句にも挑戦している『耕』の迫力に学びたいものである。
 同欄には他に夏目漱石顕彰と冠した第18回草枕国際俳句大会の作品募集もあって、熊本市主催。草枕大賞の大賞賞金は10万円。他に日本航空賞、熊本賞、松山市賞などがあるらしい。

三重県の方も作品集は出るが、こちらは「草枕の玉手箱」という入賞作品集が出ているらしい。

加藤耕子は「あゆみ」を見ると、犬山とか熱田の森とか名東とか伊勢とかの会に参加指導をしているらしいが、平成元年より続けている「教師のための俳句指導講座」の講師を26年間続けてきたが、今回降りることにしたと。

・踊るとは生きることかも風の盆               中村苑子

 ▼名古屋市瑞穂区石田町1・36・7         加藤耕子

                                                                           (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票『 並ぶ 』  応募100句
 1 3  おしゃべりと並びしんどいバスの旅 福井悦子
 1 1  達筆の横に肩身の狭い文字 西野恵子
 1 0  愚痴ばかり並べる骨のない男 圦山 繁
      アイウエオ順で納得する名簿 関本かつ子
   9  今風の名前が並ぶ出席簿 奥村吉風
      百歳と並んでみるとまだ若い 石谷ゆめこ
      とりあえず並ぶそれから考える 前田須美代
   8    並んでた位置に電車が止まらない 山本 宏
        レジ係丁寧すぎて長い列 山本  宏