目次27年11月号
巻頭言 「 文芸賞を考える」
すずか路
・小休止
・柳論自論「鈴鹿川柳会とHP」
・没句転生
川柳・人と句「私の周りの柳人たち」
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・エッセイ・あしあと
・大会案内
・編集後記

たかこ
柳歩整理

柳歩
柳歩
たかこ
たかこ

清水 信さん
久美子
新家完司さん


たかこ


 
バックナンバー

25年12月(240号)
25年11月(239号)
25年10月(238号)
25年 9月(237号)
25年 8月(236号)
25年 7月(235号)
25年 6月(234号)
25年 5月(233号)
25年 4月(232号)
25年 3月(231号)
25年 2月(230号)
25年 1月(229号)
24年12月(228号)
24年11月(227号) 
24年10月(226号)
24年 9月(225号)
24年 8月(224号)
24年 7月(223号)
24年 6月(222号)
24年 5月(221号)
24年 4月(220号)
24年 3月(219号)
24年 2月(218号)
24年 1月(217号)
23年12月(216号)
23年11月(215号)
23年10月(214号)
 27年10月(262号)
23年 9月(213号)
 27年 9月(261号)
23年 8月(212号)
  27年 8月(260号)
23年 7月(211号)
  27年 7月(259号)
23年 6月(210号)
  27年 6月(258号)
23年 5月(209号)
  27年 5月(257号)
23年 4月(208号)
  27年 4月(256号)
23年 3月(207号) 
27年 3月(255号)
23年 2月(206号)
  27年 2月(254号)
23年 1月(205号)
 27年 1月(253号)
22年12月(204号)
  26年12月(252号)
22年11月(203号)
  26年11月(251号)
22年10月(202号) 
26年10月(250号)
22年 9月(201号)
 26年 9月(249号)
22年 8月(200号)
 26年 8月(248号)
22年 7月(199号) 
26年 7月(247号)
22年 6月(198号)
  26年 6月(246号)
22年 5月(197号)
  26年 5月(245号)
22年 4月(196号)
  26年 4月(244号)
22年 3月(195号) 
26年 3月(243号)
22年 2月(194号)
  26年 2月(242号)
22年 1月(193号)
 26年 1月(241号)


                         
以前のバックナンバー
巻頭言

「文芸賞を考える」

 鈴鹿市文芸賞の募集が今年も締め切られた。選をさせていただくようになって十五年が経つ。毎年、川柳の応募者は少ない。もともと母体が少ない上に、最優秀賞を採られた方は(一年おけばまた応募はできるようになったが…)もう出されることがない。

 二十五年も昔のことになるが、鈴鹿市に文芸賞が発足して、私は「童話」を書いて応募した。(まだ川柳に手を染めていなかった)文章の書き方もろくに知らなかったが、何でもチャレンジだと面白半分の応募だった。初めての作品が奨励賞に選ばれると、喜び勇んで表彰式に出た。選考委員長の清水先生はただただ無邪気だった私に、

「受賞者の中で一人だけ、本当にうれしそうに赤い花のリボンをどこへつけようかと思案していた、これは選考委員としてうれしいことだった」
 こうおっしゃったことが今でも忘れられない。

 表彰式に出席される人も川柳はいつも少ない。選考者は、名前も分からず選んだ入賞者がどのような人なのか知りたい。礼を言ってもらう必要はないが、やはり表彰式には出てほしい。誌友など県外の人は仕方がないと思っているが…。

 そして、それ以前の問題として、川柳に限らずほかの部門もそうだが、一回ダメだったからとあきらめたりせず、チャレンジ精神を持ち続けてほしい。自分の力を試す機会はほかにも、大会や誌上大会でもあるが、まず身近なところからの「やる気」はいつか自分のためになると思える。
 今年は、私が住む団地の「女子会」のメンバーが何人か応募してくださったとか、とても楽しみである。

 ここまで書いてきてふと思った。これはずっと疑問に思ってきたことだが、選考する立場でなぜこうも応募者を募らないといけないのだろう…と。選考者に魅力がないから応募が少ないのかも知れないとも…。


                                       たかこ            

 

すずか路より
あたたかい気持ちの判る贈り物 加藤峰子
会計をいらいらさせる小銭入れ 西野恵子
目印を片付けながら帰路につく 青砥英規
フラダンス笑顔と腰に賭けている 寺田香林
ミニバイクに乗ってかわいいポリスマン 西山竹里
健康な人に任せている幹事 尾アなお
くすぶった残り火チロリ秋の風 岡ア美代子
母と娘の生きた証が本になる 神野優子
あっさりと振られてしまう秋の暮れ 上村夢香
むかご飯ああ故郷は遠くなり 栗田竜鳳
古い日記父が愛した母のこと 水谷一舟
ごねだした孫よりもっと派手に泣く 石谷ゆめこ
扇風機しまって直ぐにこたつ出す 岩谷佳菜子
喪服着て香奠袋買いに行く 西垣こゆき
故郷の信濃言葉が遠くなる 松岡ふみお
されるのもするのも嫌い見舞いとは 坂倉広美
目立つよう目立たぬように立つ司会 橋倉久美子
新鮮さが足らぬ人工滝の水 北田のりこ
乗客を今日も探して走るバス 落合文彦
朝の化粧終えるとブレーキがかかる 河合恵美子
諦めなはれきっとええことありまっせ 毎熊伊佐男
入浴剤今宵は好きな有馬の湯 鈴木裕子
甘えても良い人が居る甘えよう 長谷川健一
独り酒酔ってグラスに想う人 水野  二
悪いとこないと呪文のようにいう 竹口みか子
夕焼けの裏切りに泣く祭り山車 瓜生晴男
閑な人に眺められてるカタツムリ 加藤吉一
もみじ狩り手作り弁当連れていく 安田聡子
経本を読んで仏と近くなる 芦田敬子
説明書読まぬとできぬアナログ派 圦山 繁
無量壽の書に見守られ日々生きる 千野 力
人前で作り笑いがうまくなる 鍋島香雪
子猫飼う母の仕事が一つ増え 小出順子
おしゃべりがサプリメントを上回る 鈴木章照
偶然という神様のお導き 高柳閑雲
犯罪を防犯灯は防げない 川喜多正道
伊勢湾の堤防信じ高いびき 石崎金矢
居眠りをしてはならない交差点 柴田比呂志
生きている大きな声がまだ出ます 竹内そのみ
百合でさえ武器にとられるかも知れぬ 樋口りゑ
ライバルはパン屋だけではないパン屋 吉崎柳歩
妹がもてはやされている宴 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句44「私の周りの柳人たち」                                                                              たかこ


               清水 延和

そう言えばなどと昨日を叱られる
相傘の中まで追ってくる電話
極楽はとても行けないはえたたき
切手まで送り返事を待っている
風だけがあれば元気な風車
子は新車親は中古で雨ざらし
耳鳴りや 雨の誘いを聞き漏らす

               福中 宏之

愛子さま明るいニュース新世紀
バレンタイン嫁にもらったチョコレート
雑巾も美しくして二〇〇〇年
虹色の介護保険に要るお金
雑草を生き返らせて雨続く
元取れぬ食べ放題のぶどう狩り
宴会の途中で消える酒嫌い

                小林いさを

ときめいてそれからずっと側にいる
金婚も長寿社会で影うすく
丑の日はサンマが皿に反り返り
篭下げてヒゲがこそばいレジの前
コンバイン秋を呑み込むような音
タンポポの花の如くに終わりたい
妻の目を盗むスリルはたまらない

 

10月24日(土)例会より
宿題「靴」 橋倉久美子 選と評
  登山靴履くこともない菰野富士 吉崎柳歩
  履き心地しっくりしたが誰の靴 千野 力
 止 足湯したあと窮屈になった靴 北田のりこ
 軸 紐のある靴は本格的な靴 橋倉久美子
宿題「遅い」(共選) 北田のりこ 選
  睡眠薬みんなが起きるころに効く 石谷ゆめこ
  手術まで名医が待たす三か月 加藤吉一
 止 避難訓練ほんばんよりは遅い脚 吉崎柳歩
 軸 間に合った乗り換え 遅れてたおかげ 北田のりこ
宿題「遅い」(共選) 川喜多正道 選
  ここ一番勝負を賭けた遅い球 圦山 繁
  先生は遅刻の訳を話さない 吉崎柳歩
 止 読みきれぬうちに変わっていく字幕 橋倉久美子
 軸 せっかちな性分省みる介護 川喜多正道
宿題「自由吟」 青砥たかこ 選と評
  貼り紙は遠慮をせよと貼ってある 橋倉久美子
  訂正は三ヶ月後になる季刊 吉崎柳歩
 止 溜め息をついてる内はまだ余裕 小出順子
 軸 まったくのムダはひとつもないこの世 青砥たかこ
席題「柿」
13点 絵手紙の柿は渋くてかまわない 吉崎柳歩
12点 渋がある柿も私も使いよう 芦田敬子
 7点 渋柿もそう根性は悪くない 橋倉久美子
 6点 渋柿を食べたらきっとあんな顔 青砥たかこ
  甘柿のへたにはあまりない役目 橋倉久美子
 5点 べっぴんの柿まず仏壇にあげてから 鈴木裕子
特別室

 阪本きりり論(3) エッセイ                                 清水 信

 
『ベビーピンク』は流行色である。そういうタイトルの句集を出した阪本きりりは『ベビーブラック』と題したエッセイ集を同時にまとめた。ブラックとはブラック・ユーモアに違いない。出版記念会は盛大だったらしいが、そのときにも二冊が配られたのであろうか。

 川柳を作る人は、大概エッセイがうまい。「評論家が少ない」と阪本は嘆いているが、エッセイは得意なのではないだろうか。本紙連載の吉崎、青砥、橋倉諸氏のエッセイもうまいものだし、割り当てで皆が書かされている散文も結構うまい。
 多分、川柳という文学の根底にあるものと、エッセイが具備しなければならぬ条件が等しいからであろう。

 川柳関連の話柄は除くにしても『ベビーブラック』の中には、胸を衝く主題が非常に多い。
 愛妻の跡を追って自殺した江藤淳のことを書いているのも、好例。仲の良い夫婦は、どちらかが欺しているので、信じられないが、江藤が妻に手を上げていたという事実の前に、愕然とする。引用ばかりの『夏目漱石』なんか、妻の協力がなければ成立し得なかった研究なのだ。

『シラノ・ド・ベルジュラックとドン・キホーテを組み合わせた恋愛論』も、興味をひく。臨終の美学は男にしか無い、とは思わぬが、ロマンを男の独占物にしてはならぬ、というのは女性たちへの、誠に苦い忠言だろう。

『欲望という名の電車』についての文章も、彼女にしか書けない視角が光っている。カフカの「変身」については複数回触れているが、これも独壇場だ。
 とりわけ「オリンピックが終わってやれやれである」で始まるエッセイが良い。スポーツが愚民政策として日本中にまかり通っている間は、自分はスポーツ嫌いを通そうと思う。断乎として、スポーツ熱に気を許さない。これも政府の牛耳る幼児化現象の一環である故、心まで売ってはならぬと思う。

 阪本きりりは、川柳を捨てる時が来るかも知れないが、こういう意地を持っている間は、エッセイストとしては残るだろう。他にもパフォマーとして優秀なので、そのドラマチックな表現で、指導者となるかも知れぬと思う。

 僕が『川柳すずか』にエッセイを連載しているように、彼女が長く「川柳四日市」に長く、この種のエッセイを書き綴ることを祈る。「チマチマ書いている」などとは言うな。
 どんな短いエッセイでも、良質なものはユーモアとペーソス、そして反権力が根底にあることを忘れるな。

                                                                            (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 済む・済ます 』  応募88句
 1 2  ご祝詞が済むと姿を消す議員 西山竹里
   終活を済ますと惜しくなる命 吉崎柳歩
    子育てが済むと待っていた介護 福井悦子
     謝れば笑い話で済んだのに 西垣こゆき
     君の気が済んでも僕の気が済まぬ 小川はつこ
   9   焼香を済ませた人に借りる数珠 橋倉久美子