目次27年12月号
巻頭言 「 サミット」
すずか路
・小休止
・柳論自論「誌上互選・奇蹟の逆転」
・没句転生
川柳・人と句「私の周りの柳人たち」
・例会
・例会風景
特別室
・アラレの小部屋
・前号「すずか路」散歩
誌上互選
・インターネット句会
・ポストイン
・お便り拝受・その他
・大会案内
・編集後記

柳歩
柳歩整理

柳歩
柳歩
たかこ
たかこ

清水 信さん
久美子
真島久美子さん


たかこ


 
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巻頭言

「サミット」

 百五経済研究所の予測では、来年の伊勢志摩サミットの経済効果は向こう5年間で、一千百十億円に上るそうだ。当初の予測、五百億円を大きく上回るが、これは開催が決まった後、今年の6〜8月の外国人観光客宿泊人数の伸び率などから試算したものだそうだ。

 しかし、サミット開催のための経費も、当初の思惑よりはるかに増額せざるを得ないだろう。もちろん、先頃パリで起こったISによるテロの影響である。米国追従のための集団的自衛権を、憲法解釈の変更で強引に認めさせた政府としては、サミットで世界の要人や観光客、市民にテロの危害が及ぶことになれば一大事である。警備関連費用の大幅な増額を強いられることは勿論だが、「捕らぬ狸の経済効果」に浮かれてばかりではいられまい。

 伊勢志摩でのサミット開催が決定した三重県でも、鈴木英敬知事以下、商工業者などは歓迎ムード一色のようだ。だが、県下の警察ほか、陸海空の警備陣はそれどころではないだろう。

 閑話休題。昨年四月から始まったNHK津放送局のFMラジオ番組、「みえDE川柳」では、その月の「お題」は、選者兼コメンテーターの宮村典子さんか私が幾つか提案し、担当ディレクター、アナキャス(二人)との合議により決定しているのであるが、先月(11月)は違った。局の上層部から一方的に「サミット」と決められていたのである。地方放送局としては、今いちばん話題性があり、歓迎ムードを高めるためにも「サミット」は格好の「お題」であったのだろう。籾井会長のように、ことさら権力者におもねたわけでもないだろう。

 「題」には、題そのものの意味の「題意」と、出題者の意向、意図の「題意」があるはずである。「サミット」には、頂上、トップ会談の意味もあるが、「みえDE川柳」の出題の意図は明らかに「伊勢志摩サミット」だ。単なる家庭内の夫婦や会社の役員会議、猫の集会などの作句もあったが、選者としては没にせざるを得なかった。出題者と選者の事前の意思統一と、分かりやすく題を提示することも必要だと思った。

                                        柳歩
            

 

すずか路より
正直になろうと砂を吐くしじみ 尾アなお
目立ちたくないのに目立つ席にいる 岡ア美代子
知覧から花火となって還らない 神野優子
善人の仮面を付けて旅に出る 上村夢香
行方不明のメール届いてからの恋 前田須美代
生きるため薬を飲んで酒を飲む 栗田竜鳳
筆ペンで書くといじけたおめでとう 水谷一舟
居眠りをしてても返事してしまう 石谷ゆめこ
新聞もコンビニで買う高齢者 岩谷佳菜子
聞いている振りして何も聞いてない 西垣こゆき
治療師はちちんぷいぷい使えない 松岡ふみお
同窓会誰か校歌を歌えるか 坂倉広美
猫だましたぶん猫には通じない 橋倉久美子
ハロウィンの次の日クリスマス飾る 北田のりこ
わたくしの休みに合わぬ紅葉狩り 河合恵美子
月代とモヒカンどこか通じてる 毎熊伊佐男
年齢を言うと笑って許される 鈴木裕子
年金で納める税に変化なし 長谷川健一
渋滞へ会釈が利いて割って入る 水野  二
マイナンバーいよいよ国に管理され 竹口みか子
ドーピングしても妻には勝てません 瓜生晴男
自画像にじっと見られて狼狽える 加藤吉一
テクテクと歩いた日には食べ過ぎる 安田聡子
和菓子屋に鯛焼きだって並びたい 芦田敬子
世辞言うと機嫌よくなる歯医者さん 圦山 繁
案の定トラブル起こす常習者 千野 力
初恋の記憶の中の木の校舎 小川はつこ
補欠にもなれず外野で旗を振る 鍋島香雪
財産はないと子どもは知っている 小出順子
「七つの子」カラス少しも憎からず 鈴木章照
キッチリと六時に終わる大相撲 高柳閑雲
文句言えぬ二倍になって返るから 川喜多正道
週刊誌読んで意見がまた変わる 石崎金矢
本棚を磨けばきっと晴れてくる 柴田比呂志
歓迎も別れも花を持たされる 竹内そのみ
どうしてと聞かれて返答に困る 樋口りゑ
お昼寝を二時間もしたお疲れ度 加藤峰子
再検査夫を送る今朝の冷え 西野恵子
記憶飛ぶ法話しばしば待たされる 寺田香林
斎藤隆夫の演説よみがえれ 西山竹里
正論と思わぬ人はない自論 吉崎柳歩
いつもとは違う私もいる鏡 青砥たかこ
 

整理・柳歩

川柳 人と句45「私の周りの柳人たち」                                                                              たかこ


             稲垣志づ子

ガン検へバリウム飲んで踊らされ
メンバーが変わり雰囲気変わる会
安売りの理由みつけた製造日
旅だけが夫婦の趣味となる老後
命の長さ神の領域だと悟り
それなりの賛辞が耳に心地よい
人間の弱さ祈りに明け暮れる

               矢田 照子

良く効いた薬は強い平手打ち
絵ごころが欲しい牡丹が燃え盛る
こんな日は眠るに限るアスピリン
割り込んで邪魔と気付かぬから怖い
酸性雨濡れて行こでは済まされぬ
臆病な心がまたも蛇行する
安定剤匙加減して生きている

                矢田はるみ

自販機に戸惑う老いの素直だな
葉桜の下で探しているは過去
髪染めて少し気分のいい鏡
退屈という語を知らぬ割烹着
針持てばやはり女だなと思う
憶病の壁が私を囲んでる
保護色に馴れて自分を見失う

 

11月28日(土)例会より
宿題「月」 青砥たかこ 選と評
  月には兎オゾンあろうとなかろうと 毎熊伊佐男
  満月を味方に介護から帰る 鈴木裕子
 止 名月も満月もない救急車 吉崎柳歩
 軸 宵っ張り今夜も月に笑われる 青砥たかこ
宿題「拭く」(共選) 圦山 繁 選
  いきなりのマイク周りも汗を拭く 石谷ゆめこ
  老眼鏡拭いても見えぬ針の穴 岩谷佳菜子
 止 天窓はめったに拭いてもらえない 橋倉久美子
 軸 飽きもせず金の延べ棒拭いている 圦山 繁
宿題「拭く」(共選) 岩谷佳菜子 選
  眼鏡拭く父が優しい顔になる 北原おさ虫
  お懐紙で拭うおんなが匂う指 青砥たかこ
 止 いざ勝負汗と迷いを拭く力士 圦山 繁
 軸 クレンジング化粧拭きとり今日終わる 岩谷佳菜子
宿題「自由吟」 吉崎柳歩 選と評
  風邪を引きそうで素顔で出られない 青砥たかこ
  お得意様に勝手にされた受信料 芦田敬子
 止 することがほかにありそう昼下がり 坂倉広美
 軸 税務署のために残してある帳簿 吉崎柳歩
席題「餅」
 9点 やわらかい餅の中にもある殺意 芦田敬子
 8点 知っている人の方へと投げる餅 川喜多正道
  人間の本性をみた餅拾い 樋口りゑ
 6点 個包装餅も過保護になってくる 橋倉久美子
  お隣の餅とつながりたいお餅 千野 力
  餅米は餅になるとは思わない 加藤吉一
  よく伸びる餅で少々だらしない 橋倉久美子
特別室

 『川柳三重』のこと                                   清水 信

 書庫の整理をしている。「断捨離」という流行語はキライだが、それに近い気分で、95%は始末しようと思っている。推定20万冊に達したので、思い切って処分し始めたのだが、県の図書館も市の図書館も対応が極めてにぶく、すべてゴミに出すつもりで始めて約10年、内容はようやく3分の1になったが、まだ数年はかかりそう。
 自分の書いている本や雑誌だけは残そうか、という心掛けも悪く、古いものを拾い読みして、時間のたつのを忘れてしまうことも多い。

『川柳三重』も、その一つである。山岸志ん児の要請で、自分はここにもエッセイを連載していた。何回書いていたか、それも分からない。
 例えば179号(昭和4612月号)には「川柳連想」の一編として「先生について」というのを書いているが、現在の本誌同様、的はずれのことばかりを書いているのだ。

 当時の発行所は津市西丸之内3‐4喜田子楽方であり、34ページ。また出てきた207号(昭和49年4月号)は、津市柳山津興1239の山岸志ん児方が発行所、26ページ。318号(昭和58年7月号)は、津市渋見町丸岡630の山岸宅で発行、16ページである。ページ数だけ見れば、段々細っていった風だが、その推移の詳細は、もちろん知らない。

 179号によれば、第9回の三重川柳大会が津市の洞津会館で1031日に開かれ、90名参加(投句参加は他に32名)と盛会だったことが分かる。(御芳志感謝は35名に達している。)

 薄い冊子ではあるが、207号では仲々の冒険をしている。第3回の県文学新人賞を得た寺前みつるの特集をしており、2分の1に達するページを割いている。第1回は橋本征一路、第2回は坂五月であった。選考委員は山岸と矢須岡信だったが、預め四日市、桑名、名張の川柳会に意見を聞いたという。

 受賞者本人の言葉と共に、中村土龍や橋本征一路、兄の寺前年和喜らが、良いエッセイを寄せている。本人は酒豪でもあり、毒舌家でもあった由。

・勲章が追いかけてくる一人の死
・伏線の上にいるのが影法師
・妻の干す傘に素顔が映りそう

 その掲出句である。何にしても「川柳独自の拘束を免がれよう」とすることは誤りと、中村は説く。

                                                                            (文芸評論家)

誌上互選より 高点句(一人5句投票)
前号開票 『 記憶 』  応募88句
 1 3  昭和史は焦げたにおいのする記憶 栗田竜鳳
 1 2  捨てられた記憶が少しある子猫 吉崎柳歩
    記憶にはあるがあるとは言えぬ訳 吉崎柳歩
     継ぎはぎの記憶で作るモンタージュ 芦田敬子
     記憶にない人が笑って寄って来る 西垣こゆき
   8   褒められた記憶良い子が崩せない 加藤吉一
   8   腹立てた方に残っていた記憶 加藤吉一