目次06年2月号

・表紙裏 第20回大会案内
巻頭言 「令和6年の幕開け」
                               柳歩  
すずか路
       久美子・柳歩整理 
・小休止      広美・ともえ
・川柳つれづれ    柳歩
・人と句[雲に乗る」 青砥和子
           を読んで      たかこ
・例会
・例会風景      たかこ
・没句転生       柳歩
・アラレの小部屋
                     久美子
・前号「すずか路」散歩
        大島凪子 さん
誌上互選
・インターネット句会
・お便り拝受・あしあと
・大会案内など
・編集後記
 

   

 

 











 
 

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巻頭言

「令和六年の幕開け」

 元日の午後四時過ぎ、そろそろ息子が来る頃だと台所にいたら、妻と私のスマホが同時に激しく鳴った。

 緊急地震速報である。 二人とも立っていたので揺れも激しく感じた。それでもせいぜい震度3ぐらいだろうと思っていたが、石川県では最大震度7で津波警報も出ていた。津波の高さは5メートル、すぐにより高いところに避難せよと女子アナが絶叫している。
 その後もテレビの報道を注視していて、津波はそれほどでもなさそうと少し安心していたのだが、それは現地からの通信網が寸断されていたからだと後で知ることになる。稼働停止中ではあったが、震源地に近い志賀原発も過日、「放射能漏れなどの心配はない」と強調したそうだが信用はできない。そもそも規制委は「活断層はない」と断言していたのではなかったか? 地震予知学会は日本のどこでも大地震は起こりうると言っている。輪島市では最大4メートルの地盤隆起があり、これが結果的に津波の被害を抑えたという。六千年に一度の現象が明日にでも起こりうるということがよく解った。

 政府は、いつのまにか専守防衛をかなぐり捨て、原発も再稼働を推進するようになった。相手がどこであれ戦争が起こったら真っ先に原発が狙われるだろう。戦争が起こらなくても地震国の日本では、原発は制御できるものではないのだ。

 コロナ感染症の5類移行から九ヶ月経つが、例会への参加者数は落ち込んだままである。今年の六月に予定している第二十回鈴鹿市民川柳大会も、開催に向けて活動しなければならないが、スタッフの増員は期待できない。足元が揺らいできているのだ。
 二十回大会は大きな節目である。それはそれで意義のあることではあるが、その後は鈴鹿市周辺からの会員を増やすための地道な活動をしなければならないと思う。川柳もネットで参加できる時代になってきたので、遠方からの誌友を拒むものではないが、鈴鹿川柳会も鈴鹿市民川柳大会も、やはり地元に腰を据えて活動すべきだろう。原発の稼働阻止や川柳の普及に努めるのも、地元が先ず腹を据えることが先決なのだ。 
                                                                                                                                 柳歩

 
すずか路より
 
天職と信じクルクル回るコマ 小出順子
少々の乱れ隠せる筆の文字 藤村洋子
割箸を割った時から過去の人 柴田比呂志
飽食へ平穏無事が物足らず 竹内そのみ
ステップも軽やか春の甲子園 小林祥司
ピーポーピーポー私を運ぶ音つづく 田鎖市子
相撲好き永谷園を買っている 眞島ともえ
戦力外集めて挑むドラゴンズ 小野教彦
モジモジとしていりゃ猫も損をする 樋口りゑ
空港に戦火逃れた避難民 福村まこと
NHKの番宣CMのように 田沢恒坊
お正月賽子の目は忙しい 佐藤千四
日本中明日は我が身の地震国 ささきのりこ
原発の存在思い出す地震 瀬田明子
高齢のレッテル貼られ逃げ切れず 満月庵
検察の巨悪に向かうようなふり 西山竹里

そうねとは言わず黙って聞くはなし

澁谷さくら
不正でも買い替えできず乗る車 玉木りょうこ
バビースモ聞きなれないが治りそう 磯浜基十
タンス預金お出しなさいと新紙幣 神野優子
玉子割る今日も良い日で有るように 前田須美代
パー券で動く議員の金は億 坂 茜雲
AIが活動してる別世界 大川里子
冠婚葬祭縮小されて丁度良い 岩谷佳菜子
大根の季節美肌を愛でている 坂倉広美
自炊故独居寡夫でも知る物価 竹島 晃
私には不要不急でない句会 橋倉久美子
お雑煮の白味噌古里を偲ぶ 北田のりこ
薬にも毒にもなって酌む仲間 河合恵美子
夫より孫に黒豆食べられる 中川知子
要するにケチだと言っている質素 落合文彦
半額シール剥がし元の値見たくなる 竹尾佳代子
花咲けば終わる命運だってある 毎熊伊佐男
一粒の涙で夫たぶらかす 戴 けいこ
わだかまり時間の流れ塞き止める 村井一朗
居候してもされても気を遣う 西岡ゆかり
危な気に晴れ着摩れ合う初詣 山口龍一
新しいリズムで走る年にする 奥田悦生
ほめられて歯科の検診から帰る 鈴木裕子
掃除してやると喜ぶ用水路 草山節子
ウイルスを刺客のように出す地球 加藤吉一
たこ焼きを潰さないよう上に置く 芦田敬子
久々に電話で自慢聞かされる 圦山 繁
丸も四角も味は変わらぬ雑煮餅 小川はつこ
お正月孫もひ孫も着飾って 瓜生晴男
気がつくと膝をくの字に曲げて立ち 西川幸子
いちご狩り思った程は食べられず 水谷ちか子
パートだが組合員に誘われる 竹口みかこ
岩盤支持層が地元に居る議員 吉崎柳歩
ストレスを溜めないためにまずは寝る 青砥たかこ
 

整理・柳歩

1月27日(土)例会より  出席者14名 欠席投句 27名 計41名より
宿題「挟む」 橋倉久美子 選
  心付けきちんと挟むための帯 田沢恒坊
  警官が挟んでくれる護送中 小川はつこ
  戦なら卑怯ではない挟み撃ち 𠮷崎柳歩
 軸 押し花を作るためある広辞苑 橋倉久美子
宿題「酒」(共選) 芦田敬子 選
  ちょうどよい酒の肴になる噂 西山竹里
  酒粕になっても主張する銘酒 中川知子
 止 泣くよりは笑って飲んで欲しい酒 戴 けいこ
 軸 ノンアルじゃ嘘もつけない口説けない 芦田敬子
宿題「酒」(共選) 樋口りゑ 選
  酒樽に浸かったような三が日 小川はつこ
  薬買うついでに酒を買って来る 青砥たかこ
 止 薬だから忘れないよう飲むお酒 芦田敬子
 軸 煙草ほど肩身の狭くないお酒 毎熊伊佐男
宿題「自由吟」 𠮷崎柳歩 選
  被災地へ申し訳なく湯浴みする 満月庵
  募金箱賽銭よりは多く入れ 青砥たかこ
 止 正月もやらされている風呂掃除 入山 繁
 軸 寒さには弱いと寒い日は思う 𠮷崎柳歩
席題 折句「ひなた」 互選(一人5句投票)
 8点 一人鍋なんだかんだと高くつく 芦田敬子
 7点 評判になって慌てるタカラヅカ 小川はつこ
 6点  ひとりきり涙を流すターミナル 樋口りゑ
 4点 一晩を泣き明かしたら立ち上がる 𠮷崎柳歩
  皮下脂肪なかなか落ちず太鼓腹 中川知子
  広げると何年分の畳み皺 樋口りゑ
  引き算に慣れてきたのかたくましい 𠮷崎柳歩
  久し振り泣いた女にだまされる 𠮷崎柳歩
  ヒカリモノなんか要らない誕生日 中川知子
  誌上互選より 高点句(一人5句投票)
 
前号開票 『賭ける』応募114句
  16点  命を賭けて食べねば」ならぬ毒味役 田沢恒坊
  13点  立会の変化に賭けてみる小兵 西山竹里
  12点   タンポポの綿毛は落ちたとこに賭け 濱山竹里
     白紙よりまし山勘に賭けてみる 北田のりこ
  10点     賭けてると言えなくもない教育費 西岡ゆかり
   9点   安っぽい命何度も賭けている 青砥たかこ
    7点  楽天家今日がダメなら明日に賭け 瀬田明子
      国策になれば問題ない賭博 神野優子