目次06年4月号

・表紙裏 第20回大会案内
巻頭言 「源氏物語」を原文で
                             たかこ  
すずか路
       久美子・柳歩整理 
・小休止      竹里・はつこ
・川柳つれづれ    柳歩
・人と句[猫じゃらし」 毛利由美                  句集を読んで たかこ
・例会
・例会風景      たかこ
・没句転生       柳歩
・アラレの小部屋
                     久美子
・前号「すずか路」散歩
          木村行吉さん
誌上互選
・インターネット句会
・お便り拝受・あしあと
・大会案内など
・編集後記


 

   

 

 











 
 

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巻頭言

「『源氏物語』を原文で読む」

  遡ること、二〇〇八年源氏千年を記念して、このタイトルの講座が三重県文化センターにて開講になった。古文が少し好きだった私は、第一回からの受講生である。まず講師の河原徳子さんは、鈴鹿市在住の、年下のちょっとおこがましいが、私の偉大な友人である。

  徳子さんは、名前が表す通り徳島市生まれ、かの寂聴さんの高校の後輩で、東京の大学で古典文学を学ばれ、結婚を機に鈴鹿の住人になられた。 講座は毎月一回二時間で、現在一八二回目である。あと二年ほどで終わるらしいが、私も含めてもう一度最初から聴きたいと考えている人が多いようだ。

  「原文を読む」のうたい文句通り、原文を皆で声を出して読む時間がある。はじめの頃は詰まりながら、ポツリポツリだったが、約十六年を経て、詰まらずに読めるようになっていることに驚く。 徳子さんの奥の深い講義は、老若男女幅広いファンが多くてコロナ禍には受講生が減り気味だったが、コロナも明けた上、新年よりNHKで始まった紫式部の物語「光る君へ」の影響もあってか、急にまた受講生が増えたようである。

 『源氏物語』は、平安時代に紫式部によって書かれた全54帖にわたる長編小説である。今で言うイケメンの光源氏と多くの女性たちの恋愛模様や、社会情勢が描かれている。登場する女性の名前がみな物語性を帯びていて、どんどん引き込まれてゆく。早さはないが、SNSを彷彿させる人々のうわさ話や、妬み、駆け引きなど徳子さんの飽きさせない話から存分に知ることが出来る。

  講座を離れて、コロナ禍突入までは何度かバスを借り切って源氏ゆかりの京都近辺への日帰り旅行が計画された。事務局を担当されている谷口さんのきめの細かい準備とお世話の賜物だった。お寺巡りや京都の街並みの散策、こじゃれた料亭でのお昼ご飯など、雅な気分で一日をたっぷり楽しむことが出来た。
  せかせかとした日々を送る私に、この講座の間だけ平安時代に戻れる気がしている
                                                              たかこ 

                                                                                                               

 
すずか路より
猫踏んじゃった見事に弾いた駅ピアノ 田沢恒坊
裏門も風格がある志望校 佐藤千四
大河ドラマところどころにある史実 ささきのりこ
老いるってこういう事か合点する 瀬田明子
複雑な思いで食べる能登の牡蛎 満月庵
脚光を浴びる機会はない案山子 西山竹里
もう歳をとらない父の誕生日 澁谷さくら
医者通い少し夫に八つ当たり 玉木りょうこ
花粉症それでも花は外で観る 磯浜基十
熨斗袋春の足音聞いている 神野優子
行ったり来たりの春に迷っている桜 前田須美代
米寿過ぎ八号画紙に筆奮う 坂 茜雲
異常気象地球が流す涙かも 大川里子
四人の目一人の孫に注がれる 岩谷佳菜子
歯の抜けた顔で逆立ちしてみても 坂倉広美
卒業と直ぐ就職で二度祝儀 竹島 晃
春だけど肌寒い日のハイネック 橋倉久美子
聞いて欲しいことを聞かないリポーター 北田のりこ
ありがとう泡つぶ程の恩返し 河合恵美子
SPと孫守りにある使命感 中川知子
かじかんだ手を肉まんで温める 落合文彦
編みかけのセーターのまま終わる恋 竹尾佳代子
あくまでも知らぬ存ぜぬ五人衆 毎熊伊佐男
手拭いにとってタオルは外来種 戴 けいこ
意味探しなどもうしない誕生日 村井一朗
不自由な身体だけれど気は走る 西岡ゆかり
煮っ転がし箸でつかめぬ程に酔う 山口龍一
お姫さんから寝耳に水のLINE来る 奥田悦生
白内障と言われなるほど見えにくい 鈴木裕子
少しずつ暴かれてくる安部政治 草山節子
二刀流珍しくない甲子園 加藤吉一
メールならいっぱい書ける筆無精 芦田敬子
しっかりと眠れば楽になる悩み 圦山 繁
防衛費増えてリスクも増えてゆく 小川はつこ
ひな祭りひ孫ほんのり紅付けて 瓜生晴男
たくさんの薬並べて飲む食後 水谷ちか子
朝起きて雪にびびっているタイヤ 竹口みかこ
「腰が痛い」と言わずに孫を抱っこする 小出順子
眠れぬ夜地球の自転遅すぎる 藤村洋子
吊革に柔らかい手と硬い手と 柴田比呂志
歩くのが薬と言うが坂は無理 竹内そのみ
四コマに我を重ねてみる漫画 小林祥司
免許返納できない事情ある過疎地 眞島ともえ
ビッグボス賞味期限のファイターズ 小野教彦
吹きこぼれ一人で騒ぐ台所 樋口りゑ
神様を楯にヒト科の殺し合い 福村まこと
生きていれば何度でも来る誕生日 𠮷崎柳歩
18度で寒い18度で暑い 青砥たかこ
整理・柳歩   
3月23日(土)例会より  出席者1 2名 欠席投句 25名 計37名より
宿題「デッサン」 𠮷崎柳歩 選
  デッサンのままで幕引くく恋ばかり 圦山 繁
  デッサンのままで終わった淡い恋 澁谷さくら
  色付けて満開にするデッサン画 芦田敬子
 軸 デッサンはいちいちしないバンクシー 𠮷崎柳歩
宿題「荒い・粗い」(共選) 中川知子 選
  クレーマー荒い言葉を撒き散らす 圦山 繁
  荒っぽく積んで安売り感を出す 小林祥司
 止 監視カメラに映った荒っぽい手口 𠮷崎柳歩
 軸 この星の呼吸が荒くなっている 中川知子
宿題「荒い・粗い」(共選) 毎熊伊佐男 選
  粗削りだけどエチュード感がある 瀬田明子
  拉致家族荒い言葉は喉の奥 関本かつ子
 止 この星の呼吸が荒くなっている 中川知子
 軸 笊法のおかげ裏金屁の河童 毎熊伊佐男
宿題「自由吟」 青砥たかこ 選
  コーヒーが冷めても愚痴が止まらない 橋倉久美子
  動きでは株価に負けぬ三歳児 小出順子
 止 いらん情報うんかの如くやって来る 濱口祐一
 軸 検診の予約は女子会の前に 青砥たかこ
席題 「箱」 互選(一人5句投票)
 7点 プーチンは投票箱も支配する 中川知子
 6点 ピストルも飛び出してくるおもちゃ箱 芦田敬子
 5点  大根をメロンの箱で子に送る 芦田敬子
  透明でちょっと見栄張る募金箱 芦田敬子
  誌上互選より 高点句(一人5句投票)
 
前号開票 『注意』応募114句
  17点  玉手箱に書いてなかった注意書き 小川はつこ
  16点  居眠りの注意はしない議長席 田沢恒坊
  13点   猛犬に注意と貼ってある空き家 戴 けいこ
 12点     多国語で書かねばならぬ注意書き 𠮷崎柳歩
  10点     司会者が最初に注意するスマホ 加藤吉一
   9点   注意されなければ気づかないいびき 西山竹里
    8点   よく読むと怖い薬の注意書き ささきのりこ
      注意書き読んだら怖くなる薬 芦田敬子
      注意した子から今では注意され 満月庵